子どもたちが受け継ぐ横浜・春節の獅子舞 世代と町をつなぐ未来の文化
横浜は「港町=異国文化の玄関口」というステレオタイプを超え、地政と歴史の中で育まれた多文化共生の都市。
多文化を結んできた一つに春節がある。春節で舞う獅子や龍というアイコンを通じ、海の向こうから運ばれてきた文化と日本の文化、また人々の気持ちと心を一つにしてきた。
異国の文化が根を張り、祝祭が都市の心臓を打つ町――横浜を歩く。

世代と町の記憶を継承していく
獅子は、ただ舞うだけではない。伝統を守る存在であり、子どもたちの憧れ。世代を超えて受け継がれる”ヒーロー”でもある。関帝廟の隣にある横濱中華學院では、日本で唯一幼稚園から獅子舞の授業が行われている。

小さな体で一生懸命に舞う姿が、見る人の心を動かす。太鼓の音に合わせて頭を持ち、胴をくぐり、舞う。その中で礼儀を学び、仲間を思いやり、舞台を共有する心を育てていく。獅子を舞うのは、伝統をつなぐだけではない。人を育て、町をつなぎ、未来へと続く”文化の道”を照らす行為でもあるのだ。



獅子舞の動きの中には中国武術(功夫)の型が息づいている。 跳躍、回転、踏み込み――少林拳の型に見られる虎や猿の動きを模した羅漢拳の所作は、獅子舞の跳ねる力強さや、獅子が“生きている”ように見える演技に影響を与えている。

継承の輪郭、祝祭を編む人々
獅子が舞うとき、町は祝福される。
その舞台の裏には、音を響かせる人、道を整える人、舞を教える人がいる。
春節を支えるのは、国やイデオロギーの違いでも、技術や制度でもない。
人の手と、思いと、つながりだ。












写真 野澤亘伸
取材・文 山下マヌー
コーディネーション 安東千幸
編集 小嶋美樹
横浜への翼
横浜へはANA便で羽田空港、成田空港へ。横浜中心部まで羽田空港からは電車、バス(それぞれ約40分)、成田空港からは電車(約90分)、バス(約2時間)。
翼の王国のアンケートにぜひご協力ください。
抽選で当選した方にプレゼントを差し上げます。