中華街の獅子舞がつなぐ台湾と中国 春節が育んだ共存の港町・横浜
横浜は「港町=異国文化の玄関口」というステレオタイプを超え、地政と歴史の中で育まれた多文化共生の都市。
多文化を結んできた一つに春節がある。春節で舞う獅子や龍というアイコンを通じ、海の向こうから運ばれてきた文化と日本の文化、また人々の気持ちと心を一つにしてきた。異国の文化が根を張り、祝祭が都市の心臓を打つ町――横浜を歩く。
祝祭の顔、都市の記憶



獅子舞の「獅子」は、実在のライオンをモデルにした伝説上の霊獣とされている。
南獅は丸みを帯びた造形、表情豊かな目元と毛並みが特徴で、台湾や広東を中心に発展したスタイル。
北獅は、北京や山東など北方地域に根ざすスタイル。獅子の顔はより写実的で、眉が太く、鼻筋が通り、筋肉質な造形が多いのが特徴だ。
獅子舞はそれぞれ造形も舞も異なる。だが、どちらも文化の根幹を担っている。横浜では、これらが共存し、時に融合しながら、町の祭礼や春節を彩ってきた。



政治的な背景を語るならば、台湾と中国の関係性は複雑だ。しかし、横浜では獅子舞がその境界を越え、人々の心をつないできた。
この町の獅子の顔に宿るのは、分断ではなく、共存。それは、港町・横浜が育んだ文化の懐の深さでもある。



※写真の獅子頭はすべて南獅。横濱中華學院校友會所蔵。
写真 野澤亘伸
取材・文 山下マヌー
コーディネーション 安東千幸
編集 小嶋美樹
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横浜への翼
横浜へはANA便で羽田空港、成田空港へ。横浜中心部まで羽田空港からは電車、バス(それぞれ約40分)、成田空港からは電車(約90分)、バス(約2時間)。