横浜・春節の獅子舞が街を一つにする 中華街から広がる多文化都市の物語
横浜は「港町=異国文化の玄関口」というステレオタイプを超え、地政と歴史の中で育まれた多文化共生の都市。
多文化を結んできた一つに春節がある。春節で舞う獅子や龍というアイコンを通じ、海の向こうから運ばれてきた文化と日本の文化、また人々の気持ちと心を一つにしてきた。異国の文化が根を張り、祝祭が都市の心臓を打つ町――横浜を歩く。
獅子が舞えば町は祝福され、文化と歴史の境界を越えていく
中国の建国記念日である国慶節は毎年10月1日。獅子舞は力強い跳躍とで繁栄への願いを町に響かせる。都市空間に緊張感と高揚を刻み、熱気が広がる。
横浜中華街で春節祭が始まったのは1986年。3度目の関帝廟の火災をきっかけに、地域の結束と文化継承の象徴として定着。2022年からは横浜中華街での春節と、ベイエリアを中心に地域全体で楽しむ「横浜春節祭」の二つの春節として、1月下旬から2月中旬前後に開催される。
元町の石畳、馬車道や関内のビル街など、町の各所が舞台となり、獅子舞やランタンが都市空間を彩るように。祭は点から面へと広がり、文化の境界を越え、横浜全体が喜びに包まれる都市へ変貌していった。
獅子舞は、ただの伝統芸能ではない。獅子が舞うことで通りは舞台となり、人々は観客であり参加者となる。台湾系と大陸系、獅子の顔が異なっても、町に響く太鼓の音は同じ。 それは、横浜が持つ“多文化の受容と共生”の力を象徴している。
毎年10月10日に行われる雙十節は、台湾の建国記念日。獅子舞同様、希望と誇りを掲げて都市空間に祝意を描き出す龍舞。獅子とは異なる流麗な動きが美しい。
町は舞によりつながり、物語になる
中華街の路地から飛び出した獅子たちは、太鼓の音とともに近隣エリアにも物語を刻んでいく。

西洋文化と職人の町として発展し、老舗が並ぶ元町(上写真)では石畳の通りが舞台となり、 明治期に築かれた倉庫をリノベーションした、横浜を象徴するレトロ建築の横浜赤レンガ倉庫(下左写真)では、過去の時間の中で獅子が舞う。

広がる緑地に海からの風を感じられる臨港パークでは、空と海が獅子の跳躍を受け止め、 ランドマークタワーや観覧車がそびえる未来都市の象徴、文化・商業・観光が融合するみなとみらいエリア(下写真)では、都市の開放性が、文化の受容力として立ち上がる。

写真 野澤亘伸
取材・文 山下マヌー
コーディネーション 安東千幸
編集 小嶋美樹
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横浜への翼
横浜へはANA便で羽田空港、成田空港へ。横浜中心部まで羽田空港からは電車、バス(それぞれ約40分)、成田空港からは電車(約90分)、バス(約2時間)。