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恵まれた庄内を食を通して表現する…田舎の満席トラットリア~水の都 庄内vol.3

恵まれた庄内を食を通して表現する…田舎の満席トラットリア~水の都 庄内vol.3

TRAVEL 2023.07 庄内特集

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山に囲まれ日本海に面した、山形県「庄内」地域。出羽山地の向こうには内陸(山形市)、鳥海山(ちょうかいさん)の向こうには秋田県、朝日山地の向こうには新潟県が広がっている。日本海にも面しており、最上川、赤川など多くの川が流れるその肥沃な土地は、山々に守られながら安穏が保たれてきた。その土地で食を育み、扱う人たちに話を伺うと誰もが「山によって台風からも免れ、水に困らない土地だからこそ食材の宝庫」と幸せそうに話す。安穏の地に広がる水田には空、雲、山並みが映りキラキラと輝いている。

食材や環境、人のよさ、時間の流れなど、ここ庄内はイタリアを思い出す地

東京とイタリアで働いたのちに移住した、「ジーラ ジーラ」オーナーシェフの古門浩二さんは、ここ庄内を「居場所」と話す。魅力は食材と人。「山形に遊びに来た時、イタリアの感覚が蘇りました。水、魚、野菜が豊富で、味もとても濃い。野菜をたくさん使いたいのでランチは多種の前菜をビュッフェスタイルに。メインやパスタは好きなものを選べるようにしています。農家さんも困っているB品と言われる野菜を買い取り、調理してお客さんに届ける。そういう循環をシンプルに作れば、みんな幸せじゃないですか」
食材に魅せられた彼は、コースメニューも食材を買いながら大枠だけ決め、作りながら考えて組み立てる。
「僕の料理を出したいとは思っていないんです。庄内の素晴らしい食材を美味しく食べてほしいと思っているだけ。だから、発酵させたり組み合わせを考えるのは好きですが、食材はなるべくシンプルに調理します」
ここも自分のレストランではなく、新しい場として捉えている。
「ゆくゆくは、この場をシェアしながらみんなで生きていけたらいいなと思っています。違う人が料理する日もあれば塩を作る人もいたり、ラボのようなイメージです。庄内食材の美味しさを伝えていくという共通のベースは持ちながら楽しい場になったらいいなと」
レストランを超えた新しい形の取り組みは始まったばかり。

この日の魚料理は本マス。あさつきと松の実のジェノベーゼソースと温泉卵、魚醤でいただく。うどのせん切りを合わせると、食感と香りのバランスが絶妙でたまらぬおいしさ。ナチュールや国産のワインにも合う味わいになっている。

メインの肉料理は、その日に仕留められてさばかれた庄内鴨。胸肉はしっとりと柔らかく、ジューシー。そして驚いたのはレバーとハツの鮮度!こんなにクセのない甘みのある鴨を食べたのは初めてかもしれない。庄内の恵みをありがたく堪能させていただける一皿。炭の香りに赤ワインを加えたソースも絶品。生産者さんから入ってくる食材を最高の状態で食べることができるのは、最も贅沢なこと。豚、羊肉などその日に一番鮮度の良いものをメインにする。その日によって内容の変わるお任せコースはわくわくする。

ラストはパスタで、この日は赤海老のパスタ。朝採れの鶴岡産モウソウダケも使われていた。前菜とメインで7種ほど、そして自家製のとびきりおいしいパンも頂いたうえ、最後にパスタも食べられるので、大満足できる。お皿も全て陶器でこだわりのもの。

わずかな人口の田舎の地にぽつんと佇むレストランとは思えないほどの盛況。シェフとお客さんの笑顔であふれる。食材からメニューを考えているとどんどん楽しくなっていくという才能溢れるシェフ。今後も庄内での活躍が楽しみ。ワインセラーの品揃えも素晴らしく、鶴岡では今最も熱いレストランのひとつである。

gira e gira

山形県鶴岡市豊田甲28-2
TEL:090-1808-3420
ランチ 11:30〜14:00
ディナー 18:00〜23:00
休/水曜・不定休

GoogleMap

撮影:関めぐみ
取材&文:桃本梨恵(Lita)
取材コーディネート協力:鈴木伸夫・有路理永
編集:中野桜子

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