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日本酒とサウナを水田の中で…浮かぶホテル「スイデンテラス」~水の都 庄内vol.2

日本酒とサウナを水田の中で…浮かぶホテル「スイデンテラス」~水の都 庄内vol.2

TRAVEL 2023.07 庄内特集

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山に囲まれ日本海に面した、山形県「庄内」地域。出羽山地の向こうには内陸(山形市)、鳥海山(ちょうかいさん)の向こうには秋田県、朝日山地の向こうには新潟県が広がっている。日本海にも面しており、最上川、赤川など多くの川が流れるその肥沃な土地は、山々に守られながら安穏が保たれてきた。その土地で食を育み、扱う人たちに話を伺うと誰もが「山によって台風からも免れ、水に困らない土地だからこそ食材の宝庫」と幸せそうに話す。安穏の地に広がる水田には空、雲、山並みが映りキラキラと輝いている。

水田の中に浮かぶ美しいホテルは、観光だけでなく地域の課題に挑む場も担っている

水田の中に建つ「スイデンテラス」の客室は全119室。「そんなにも宿泊ニーズがあるのだろうか」という疑問は、社長である山中大介さんにお話を伺ってすぐに腑に落ちた。レストランや温泉、ライブラリーなど宿泊客だけでなく地域の人も気軽に利用できる環境をととのえており、このホテルは庄内をこれから盛り上げていくという使命を体現した場となっている。庄内に魅せられ移住した彼の思いを伺った。
「庄内空港に降りた時の空気が独特なんです。とても綺麗。ここはいい場所だなという直感がありました。転職と移住を決め、この地域の課題や困りごとの解決に挑むことに。まず僕のような庄内ファンをもっと作るにはホテルがあったらいいなと思いました。田んぼという原風景をエンターテインメント化することで、当たり前の原風景に価値があることもあわせて伝えられたらといいなと思っています」
ホテル=観光客を集めるということだけでなく、同時に農業やWEBメディアなども始めている山中さん率いる「ヤマガタデザイン」。どう地域と一体となり、良さを伝えていくのかまだ課題はたくさんあるとのこと。「ライブラリーに日本酒のセルフドリンクバーを作り気軽に楽しめるようにしたり、サウナから水田を眺められたりとホテル内で庄内の魅力を楽しむことはできますが、もっとこのエリアの豊富な食材を可視化したり、楽しめるイベントを考えたり、地域とさらに深く繋がっていきたいと思っています。ここは歴史上一度も飢饉(ききん)のない場所。他にはない豊かさが魅力です」
スイデンテラスを拠点として、多角的に庄内の魅力が発信されていく。

水田に空が映る早朝と夕方はとても幻想的。部屋によっては、目の前にその景色が望める。サウナはセルフロウリュを備えた本格的なフィンランド式が2つ。こちらは窓の外に水田の美しい景色が見えるサウナ。

ライブラリーにはたくさんの選りすぐりの本が揃っており、日本酒を飲みながらのんびり読書を楽しめる。ワインのサーバーに県産の日本酒が入って並んでおり、飲み比べが楽しめる田んぼビューの空間はとても贅沢。

スイデンテラス

山形県鶴岡市北京田字下鳥ノ巣23-1
TEL:0235-25-7424
https://www.suiden-terrasse.yamagata-design.com

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学びの選択肢を広げる、という大きな存在に。
スイデンテラスの隣に佇む、全天候型児童教育施設「キッズドームソライ」

スイデンテラス社長山中さんが地域のための街づくりにおいて最も重要だと思っている教育。児童教育施設「キッズドームソライ」は、子どもたちの個性を伸ばすことに重点を置いた場所に。
「学ぶ時に最も必要だと思っている〝選択肢〟が、地方では公教育以外に少ないと感じていました。教育とは、勉強ができる子ではなく、勉強したくなる子、学び続けたくなる子を育てることだと思っており、そこを重要視しながら運営しています」
体を動かして思い切り遊べる遊具を備えた「アソビバ」と、1000種類の素材や200種類以上の工具、3Dプリンターまで備えた「ツクルバ」を自由に行き来できる館内では、ワクワクすること、自発的に興味を持つことを手助けしてくれる。

キッズドームソライ

山形県鶴岡市北京田字鳥ノ巣6-1
https://www.sorai.yamagata-design.com

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改革と進歩を重ね、安定した米づくりを実現。
月山、鳥海山、最上川、3つの水が潤す田園地帯で作られた、特別栽培のお米

親子二代専業農家である「井上農場」。特別栽培米の基準よりも高い自主基準を設けて農薬を使わずお米づくりと向き合う。
「庄内平野は3つの水源に恵まれ、四季があり、万年雪というダムのような存在もあり、米づくりに最適な場所。山に囲まれていて台風も直撃しません。私たちは生産から販売まで担い、自家用ライスセンターでこだわりを持って乾燥調整しています」
存続がなかなか厳しい農家の新しいスタイルを切り開いてきたと言える「井上農場」。
「お米は日本の主食であるというのに、どの農家も経営が困難になってしまうという仕組み。それを打破して、こだわり抜いたお米を作りながら経営をまわし次世代に受け継いでいくには、新たな技術を取り入れ、改革をしていく必要がある。今年から有機栽培もチャレンジしようと自動抑草ロボットも取り入れたばかりです」
毎日当たり前のように食卓に上がるお米。それがどうやって作られ守っていくべきか。消費者側の意識の改革も必要と言える。

井上農場 交流施設・ライスセンター

山形県鶴岡市渡前字山道東91
TEL:080-8216-7329
Mail:mail@inoue.farm
https://inoue.farm

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撮影:関めぐみ
取材&文:桃本梨恵(Lita)
取材コーディネート協力:鈴木伸夫・有路理永
編集:中野桜子

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