トレッキングで楽しむ高山植物と絶景のコラボ 7コースで楽しむ礼文島の大自然
礼文島の風景が日本離れしていると感じるのは、ニュージーランドの丘陵地帯、北欧の切り立つ海岸線を連想させるからだろう。島の表情は東と西で大きく異なる。海風がぶつかる西の地形は切り立った断崖絶壁となり、風が吹き抜ける中央から東にかけては緩やかな丘陵が形成される。風は険しさと穏やかさを表現しながら、今も島の姿を変えている。
その中で、風に耐える高山植物はとてもしなやかだ。氷河期時代、まだ大陸と島がつながっていた頃から自生しているのだから大したものだ。
なだらかな丘陵と断崖絶壁 島の持つ二つの顔を体感する礼文島トレイル
礼文島を体感する方法の一つにトレイルを歩くという選択肢がある。日本各地にあるトレイルの中でも、高山植物のすぐ向こうに海を見渡すことができる風景は礼文島ならではだろう。隣の利尻島にそびえる利尻富士が礼文島と地続きに見えるところは大自然の粋な演出。岬を巡ったり、湖畔を散歩したり、縦走に挑んだり。天候や体力に合わせて、島には7つのコースが用意されている。
礼文島トレイル
礼文島には変化に富む7つのトレッキングコースがある。4kmの久種湖を周回する久種湖畔コース、最北端のスコトン岬から島の西を通りレブンアツモリソウ群生地を経由する岬めぐりコース、本格的なトレッキング装備が求められる8時間コースなど、実に多彩。ほかには、桃岩展望台コース、礼文林道コース、礼文岳コース、礼文滝コースがある。自身の体力に合わせて歩いてみよう。トレイルの多くが含まれる利尻礼文サロベツ国立公園は今年で50周年を迎える。
柏倉陽介 | かしわくらようすけ
ネイチャーフォトグラファーとしてスミソニアン自然史博物館、国連気候変動枠組条約締約国会議などで作品を展示。ナショナルジオグラフィック国際フォトコンテストやワイルドライフフォトグラファー・オブザイヤーなどに入賞、国際モノクローム写真賞では審査員を務める。今年3月に写真集「Back to the Wild 森を失ったオランウータン」を上梓。
写真・文 柏倉陽介
ドローンパイロット 深田康介
編集 二村勉史
<礼文島への翼>
礼文島へは東京(羽田)などからANA便で稚内空港へ。稚内空港からバスで約40分の稚内港フェリーターミナルからフェリーで香深港まで、約1時間55分。