礼文島観光のベストシーズンは? あえて花が咲かない季節を楽しむ
時間や季節が変われば島の姿もまったく違うものに
礼文島の観光シーズンはいつだろう。花が咲き始める5月下旬から冬が始まる10月下旬までといわれているが、最も多くの花を楽しめるのは6月中旬から8月初旬だ。
本州の夏の暑さから逃げることが目的ならば、礼文島は最高の島となる。8月の猛暑時でも平均気温は21度ほど。常にエアコンが作動しているような快適温度である。
夏以外はどうか。花のない季節は丘陵の地形がより目に飛び込んでくるし、強烈な風が吹き荒ぶ厳しい冬には絶品の鱈が手に入る。自分だけしか知らない景色を見つけて、春夏秋冬を感じるのもいいだろう。
国境の向こうに沈みゆく夕陽
主要道路から江戸屋というポイントで左折すると、トド島展望台へと続く脇道がある。この道は沈む夕陽と高山植物が眺められる絶景エリアでもある。
夜にはギラギラと輝く星も見られるスポットだ。そのまま進むとスコトン岬に通じるのだが、昼間は大きな観光バスが走ることもあるので一方通行が土地のルールになっている(スコトン岬方面から入るのは逆走となる)。
春夏秋冬を味わい尽くす旅、終わらない礼文島への思い
礼文島の強烈なリピーターに会い、その旅の極意に触れたことがある。どこでも空いている宿に泊まり、朝食を食べて散歩をする。スーパーに寄り、お弁当を買って、眺めのよい場所でのんびりと過ごす。
花の咲かないシーズンオフの季節でも景色は清々しく、厳しい冬は暖かい部屋から外を眺めるのだという。訪れるたびに小さな発見があり、季節の移ろいを全身で楽しんでいるのだろう。
柏倉陽介 | かしわくら ようすけ
ネイチャーフォトグラファーとしてスミソニアン自然史博物館、国連気候変動枠組条約締約国会議などで作品を展示。ナショナルジオグラフィック国際フォトコンテストやワイルドライフフォトグラファー・オブザイヤーなどに入賞、国際モノクローム写真賞では審査員を務める。今年3月に写真集「Back to the Wild 森を失ったオランウータン」を上梓。
写真・文 柏倉陽介
ドローンパイロット 深田康介
編集 二村勉史
<礼文島への翼>
礼文島へは東京(羽田)などからANA便で稚内空港へ。稚内空港からバスで約40分の稚内港フェリーターミナルからフェリーで香深港まで、約1時間55分。