沖縄の森に夢のツリーハウス 1冊の絵本と自然への愛が生んだ奇跡のリゾート
沖縄の森を訪れたことはありますか? やんばるの森の奇跡を知っていますか?
沖縄北部の「やんばるの森」は「奇跡の森」と呼ばれ、2021年世界自然遺産に制定されました。
そしてまた沖縄で生まれ育ったHYは、2021年に沖縄県世界自然遺産大使となり、この大切な財産を語り継ぐお手伝いをしています。
この森で起こった奇跡、人々の抱く夢、人と自然の共存する新しい沖縄の魅力を、訪れて肌で感じてください。(HY)
「ツリーハウスを作り自然を守りたい」、この一心から生まれたホテルが今、やんばるの森の中にそびえ立つ。
森の奥へと車を走らせ、ツリーハウスを目にすると、「すばらしすぎて信じられない……」。目の前の光景につい息を呑んだ。
一冊の絵本から始まった 壮大な夢の実現
オーナー兼建築主の菊川曉さんは、全くの素人でこの壮大な建築に臨んだといいます。
「完成まで約8年。幼少期に読んだ絵本のシーンが頭から離れず、ツリーハウスを作りたいという夢が忘れられなかった。ある時、ボルネオ島へ野生のオランウータンを見に家族で旅行した際に原生林をパームヤシ畑に変えてビジネスする姿をみた。このままでは地球の温暖化が促進され生態系も崩れてしまう。私たちは、それを防ぐために森を利用したツリーハウスリゾートをつくろうと決意したのです。
娘の万葉も自然の中で育ち大学では生態系科学を勉強し、ツリーハウスを作りサステイナブルなホテルにし自然に恩返ししたいという気持ちがあったため、親子で開業に漕ぎ着けた。ただただツリーハウスを作りたい!という夢と、同時に日本初の森を活用したツリーハウスリゾートを目指し、森を守ることを絶対ルールとしながら、人々がダイナミックな自然体験もできる施設を完成させ、そのビジネスモデルを世界へ輸出したいというものでした。一念発起し、この手つかずの原生林の森に出会って土地を購入。森も守ることができ、雇用も生み、自然と共存していくのが大好きな自然への恩返しだと考えたんです」。
たしかに、ツリーハウスはいたるところに“自然を最優先した建築”がなされている。木を一切切らずに廊下や壁が幹や枝を避ける形で作られており、どこにいても自然をじかに感じられる。法律や木の上の建築の難しさというたくさんのハードルにぶつかりながら、建築の構造計算は独学、設計も自らがしたというのには驚き。夢を叶えることのすばらしさ、そして自然にお邪魔させてもらっている感謝が湧く、唯一無二の場所。
上から吊った建築方式で螺旋階段を上がる「スパイラルツリーハウス」と、全面窓で自然を浴びることができる「エアロハウス」。2024年はさらに4棟がオープン予定。
23年にサウナツリーハウスも完成。自然を浮遊している感覚で整える。水風呂は天然の川へ滑り台でドボン!
食事は大自然の木の上のダイニングで。その時々の県産食材をふんだんに使った薪料理やしゃぶしゃぶを堪能!
ツリーフルツリーハウス サステイナブルリゾート
案内人 HY
2000年結成のミクスチャーバンド。新里英之(Vo&Gt)、名嘉俊(Dr)、許田信介(Ba)、仲宗根泉(Key&Vo)の4名全員が沖縄県うるま市出身。「HY」は、彼らの地元・東屋慶名(Higashi Yakena)の地名が由来。2003年に2ndアルバム『Street Story』をリリースすると、インディーズとしては史上初のオリコンチャート初登場&4週連続1位という偉業を達成し、ミリオンセラーに。以来、多くのアルバムをリリース。国内ツアーに力を入れながら、カナダ、アメリカの主要8都市、台湾、韓国でもライブを実施。沖縄の自然を守る活動にも力を入れ、2021年には地元うるま市初の観光大使となり、沖縄県世界自然遺産大使に任命される。
毎年、沖縄県でHY主催の音楽フェス「SKY Fes」を開催
案内人・語り HY(沖縄県世界自然)
写真 G-KEN
文・編集 中野桜子