人吉・球磨の自然が育む球磨焼酎 湧水と米が織りなす伝統の味
人吉の美しい水、気候、人の愛で長年守られる「球磨焼酎」
湧き出る伏流水が一つに集まって急流、球磨(くま)川をつくる。ここは、熊本の最南端、人吉・球磨地域。寒暖差と、水の恩恵を受ける「米」で造るのが、熊本ならではの米焼酎「球磨焼酎」だ。
原料に米を使うこと、人吉・球磨の地下水で仕込み、人吉・球磨で蒸留から瓶詰めまで行うことが球磨焼酎を名乗る条件。このように産地呼称が認められるのは日本の焼酎では5ブランドだけ。日本遺産の構成文化財の一つでもある。ブランド認定は1995年と最近だが、球磨焼酎の歴史は約500年といわれ、人吉では室町時代から焼酎造りが行われてきた。現在は27の蔵が腕を競う。伝統製法や条件はあるものの、その味は多彩。
最近東京でも見かけ、すっかり虜になった米焼酎が気になり、2蔵訪ねた。高田(たかた)酒造場は様々な花酵母を使用した米焼酎が長年人気。そんな中、新たな試みはクラフトジン。13代目の高田恭奈(やすな)さんが手掛けた。晩白柚、デコポン、桃など熊本に特化したボタニカルのジン造りはすでに高く評価される。

27蔵でも唯一撫子、桜などの花酵母を使用した「花」。クセを楽しみたいなら「山ほたる」。右は2023年にスタートした熊本のクラフトジン。(高田酒造場)


12代目の高田啓世社長と13 代目恭奈さん。花酵母の焼酎を生み出したのが啓世さん。研究を重ね人気銘柄に。恭奈さんは大学時代から研究していたジン造りに見事成功。

高田酒造場
熊本県球磨郡あさぎり町深田東756
0966-45-0200
https://www.takata-shuzohjyo.co.jp
焼酎は全て手造りで、カメ仕込みを受け継ぐ。地中に埋め込まれたカメは昔の配置のまま。味にばらつきが出ぬよう少量生産を守り続ける。
豊永酒造は明治27年の創業時より自社田を持ち、自家米で焼酎を造る老舗。ブームを起こしているのは「カルダモン焼酎」。焼酎の概念が180度変わり、多くの人がまた米焼酎に注目している。歴史ある蔵元で生まれた若き造り手が新しい酒造、販売に精を出す。人吉の酒蔵はとても元気だ。


カルダモン焼酎。ふんだんにカルダモンを使用し、香りが工場中に広がる。発端はカレー屋さんである「春夏冬」からのリクエスト。7回の試作を重ねてようやく完成した「カルダモンTAKE7」。ベースの米焼酎も専用のものを造った。
豊永酒造
熊本県球磨郡湯前町上里1873
0966-43-2008
https://www.toyonagakura.com


オーナー隅田耕一郎さんがプロデュースしたジン「ベアーズブック」。「白岳しろ」でお馴染みの米焼酎メーカー高橋酒造の新ブランドより。

隅田さんは熊本地震チャリティー活動も積極的に行う。
The Bar Amber
熊本への翼
熊本へは東京(羽田)などからANA便で阿蘇くまもと空港へ。
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撮影 神林環
コーディネート 鬼崎翔大
取材・文・編集 中野桜子
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