熊本の鬼伝説を知っていますか? 阿蘇火山の産物『押戸石の丘』のミステリー
標高845mの丘に、巨大な9組の石が鎮座する。最大で高さ5.5m、周囲15.3mにも及ぶ。一見これも火山による自然の産物にも思える。しかし、この巨石群には不思議な現象があり人々を魅了しているようだ。

鬼がお手玉にした巨石が祀られる丘
長年伝説ではこういわれる。巨大な鬼が石を持ってきて、夜な夜な お手玉をして遊んでいたと。
伝説は私たちの想像を掻(か)き立ててくれる。一方で、縦に並んだ石の配置やそれぞれの石に「祭壇」「日時計」などと用途がうかがえること、約4000年前のシュメール文字(くさび形文字)がペトログラフ(岩刻文字)として刻まれていることが発見され、日本ペトログラフ協会に調査を依頼したことで、巨石群は人工的に配置された先史時代の文化遺跡ではないかという説も浮上する。
古代の日時計の役割があったとされる石には、夏至(げし)と冬至(とうじ)で太陽の位置が変わるのがわかるようになっていることも偶然にしては不思議である。真実は巨石のみが知る。しかし、360度広がる大パノラマの絶景と神秘的な佇(たたず)まいは、紛れもない事実だ。石は太古から私たちを惹きつけ、いざない、大切に祀られる存在である。

巨石群の中心をなす「押戸石(おしといし)」。頂点の真北には北極星がある。入り口で借りる方位磁石を持ってぐるりと歩くと、不思議なことに磁気の働きが正常でなくぐるっと回る。「石に登ると雨が降る」という言い伝えや「鬼のお手玉」という異称も。

古代における日時計「はさみ石」、シュメール文字が刻まれた「鏡石」、神々に通じる「祭壇石」などがあり、人々の信仰を集める。
押戸石の丘
熊本県阿蘇郡南小国町中原511
0967-42-1444(南小国町観光協会)
熊本への翼
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※運航情報は変更になる可能性があります。最新の情報はANAウェブサイトをご確認ください。
撮影 神林環
コーディネート 鬼崎翔大
取材・文・編集 中野桜子
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