南関あげをおでん割烹でー南関あげを訪ねて熊本へ-4
南関あげは、家庭料理の食材というイメージがあるが、『ミシュランガイド』の1つ星を獲得した熊本市内のおでん割烹「おでん まつむら」では、本格的な和食としての南関あげ料理が楽しめる。
「南関あげは、生地がしっかりしていて油分と旨みがちゃんとある。おでんや炊き込みご飯に入れると、全体のおいしさを底上げしてくれる、まさに名脇役です」と店主の松村崇史さん。
大阪・北新地の料亭「かが万」で長年修業を積み、地元・熊本に戻って2012年に店をオープン。カウンター内におでんの銅鍋が鎮座しているものの、ゆったりとした店内はモダンな佇まい。自慢は、九州の食材を使った割烹料理とおでん、そして釜めしだ。
おでんのだしは、野菜でとっただしとかつお昆布だしのダブルスープで、季節のものや創作ものも含めて常時20種類をラインアップ。素材の持ち味を生かすため、それぞれ調理をした後におでんだしと合わせるのが松村さん流。薄口しょうゆとみりんでほんのり味つけをした「青菜と南関あげ」は上品な味。一番人気の「半熟卵」や名物「くじらの舌のさえずり」と共にぜひ味わいたい一品だ。
おでんのだしで炊いた「鯛と生姜のかまめし」は、開店当時からの定番メニュー。焼いた鯛の香ばしさと南関あげの油分がおいしさの決め手だが、釜めしや南関あげの味噌汁で〆る前に、「黒毛和牛とごぼうのメンチカツ」や「車海老のビスククリームコロッケ」、「芦北足赤えびフライ」など、オリジナリティあふれる一品料理を、店主が厳選した地酒や和食に合う白ワインと共にゆっくり堪能したい。
おでん まつむら
熊本県熊本市中央区南坪井町5-18
サウスファイブセカンドビル1F
営業時間 18:00~22:00(21:30LO)
日曜定休
アラカルトのほか、「おでん割烹コース」¥7,500、「特選おでん会席コース」¥11,000もある。
撮影/白木世志一
取材・文・編集/和田紀子