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玉名の新名所で南関あげをー南関あげを訪ねて熊本へ-3

玉名の新名所で南関あげをー南関あげを訪ねて熊本へ-3

TRAVEL 2023.10 熊本特集

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熊本市内から車で40分ほど。熊本県のほぼ真ん中に位置し、有明海に面した玉名市。その中央を流れる菊池川のほとりに、ひときわ目立つ4階建ての建物がある。築44年の建物をリノベーションし、玉名の新名所として話題の「HIKE」は、ホステルを中心にカフェ&ダイニング、ショップからなる複合施設だ。

オーナーの佐藤陽子さんは玉名市出身。東京のアパレル会社で働いた後、地元に戻る前に、夫の充(みつる)さんと1年3か月かけてバックパックで世界37か国を巡ったという。

「南米のパタゴニア、アメリカの国立公園、ネパールのヒマラヤ山脈……山に登ると、知らない人同士が挨拶を交わし、情報交換したり励まし合ったりしますよね。それがすごく心地よくって。そんなふうに人が集い、コミュニケーションが生まれる場所を作りたいなと思ったんです」。決め手になったのは、山の頂上に到達したような屋上からの眺めだったという。

エントランスを入ると、手仕事の生活道具を集めたショップ「タシュロン」がある。「タシュロン」とは、北アフリカの先住民、ベルベル人の言葉で「職人」の意味。小代焼の器やヤマチクの竹箸など地元の手仕事を中心に、充さんの出身である福島・奥会津の山ぶどう籠など、佐藤さん夫妻が惹かれ、長く使い続けたいものが並んでいる。

その奥にあるカフェ&ダイニングは、中央に4mのテーブルが3台並び、東西の壁一面が窓という開放的な空間。東に菊池川、西に高瀬裏川を眺めながら、地元の生産者や旬の食材を使ったフードやスイーツ、ドリンクが楽しめる。

南関あげが入っただご汁を

さぞかしおしゃれなメニューばかりなのだろうと思いきや、なんとランチは「だご汁定食」のみ!

「この土地でとれた食材で、ここならではの家庭料理を提供したいと思ったんです」と陽子さん。

だご汁は熊本の郷土料理で、それぞれの家庭によって味つけも具もさまざまだが、小麦粉や米粉をこねた団子が入っている。

「HIKE」のだご汁は、いりこ、干ししいたけ、昆布、かつおからとっただしがベースのしょうゆ味(冬は味噌味)で、地元の信頼できる農家の野菜と南関あげが入っている。

「南関あげは、玉名では馴染み深い食材。東京に住んでいた頃は、熊本土産として知人友人に渡していました。今や熊本名産のひとつですが、玉名の味として皆さんに知っていただけたら」と陽子さん。

高菜飯と小鉢3品がついた「だご汁と高菜飯定食」¥1,300のほか、「だご汁単品」¥800(小鉢2種付き)もある。

ホステルに泊まって玉名を満喫

カフェ&ダイニングで寛ぐうち、もっと玉名でのんびりしたくなったら、宿泊も可能だ。3階~4階が客室になっていて、シャワー、トイレ、キッチンが共用のホステルというスタイルが、バックパックで世界一周をした佐藤さん夫妻らしい。

「近くに温泉旅館はありますが、もっと気軽に泊まれる場所があるといいなと思ったんです。ホステルなら、宿泊者同士はもちろん、ゲストと玉名の人たちがコミュニケーションできる場を提供できるかなと」(陽子さん)

「HIKE」では、衣食住に関するポップアップショップやワークショップ、イベントなども定期的に開催している。

「HIKE」のある高瀬地区は、江戸時代は米の集積地として栄えた港町。川沿いには当時の石橋や石垣が残り、街中には昔からある酢屋、味噌屋、飴屋さんなどの商店が並んでいる。「HIKE」を拠点に、風情ある街並みをゆっくり散策するのもいい。

HIKE

熊本県玉名市秋丸415-2

TEL:0968-72-0819

営:11:30〜19:00(金・土~22:00)

水曜定休

*宿泊 チェックイン16:00~21:00、チェックアウト翌10:00

https://hike-tamana.com/

GoogleMap

撮影/白木世志一
取材・文・編集/和田紀子

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