幸せホルモンは朝の日光浴でチャージ 頭痛専門医が“春バテ対策”を解説
厳しい寒さも徐々に和らぎ、旅をするのも楽しい季節になりました。この季節、旅行にお出かけになる皆さまには、いつもより少し意識的に、日光を浴びていただきたいと思います。なぜなら“幸せホルモン”とも呼ばれる脳内物質・セロトニンは、日光を浴びることで合成されることが、広く知られているからです。心身をリラックスさせ、気持ちを明るく前向きにする効果があるセロトニン。不足してしまうと、イライラや不安などストレスを感じやすくなるとされています。
毎年、ゴールデンウィークのころになると、不安感や緊張感から体調不良に繋がる人がいます。俗に「4月病・5月病」、最近では「春バテ」などと呼ばれるこれらの症状も、春先のセロトニンの合成が不十分だったり、不安定になっていることが原因の一つと考えられているのです。
朝晩の寒暖差が激しく、職場の人事異動など環境の変化も大きい春は、私の頭痛外来でも不安を訴える患者さんが少なくありません。ただでさえ敏感に、さまざまな変化を受け止めてしまう脳の負担を極力減らすため、私は患者さんたちに「仕事以外の時間はまったり休息を」と伝えています。敏感な脳をお持ちのかたも、もちろん日光浴を実践してください。旅先によってはまだ肌寒い場所もあるとは思いますが、できるなら1日15〜30分は上着を脱ぎ、肌に直接、日の光を受けましょう。
とくに、おすすめしたいのはお目覚めになった直後。朝、たっぷりと合成されたセロトニンが、夜にはメラトニンへと変化し、良質な睡眠も促進してくれます。また、脳の血管や神経細胞を安定させ、興奮を抑える効果もあります。つまり、この季節の日光浴は、頭痛予防にもなるのです。ただし、訪問先が南の島など日差しが強い場所では、サングラスをかけることをお忘れなく。
笑顔になる処方箋
旅先で目覚めたら、素肌に日光を浴びましょう
脳神経外科医・清水俊彦(しみず・としひこ)
脳神経外科医。医学博士。1958年、京都府生まれ。日本医科大学医学部卒業、東京女子医科大学大学院博士課程卒業。現在、東京女子医科大学をはじめとする複数のクリニックで頭痛外来を担当し、一日あたり数百人の患者さんを診察する、頭痛研究の第一人者。著書やメディアへの出演も数多い。
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