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大谷石採掘場跡の“アートサウナ”体験 「元気炉」で五感をととのえる

大谷石採掘場跡の“アートサウナ”体験 「元気炉」で五感をととのえる

LIFE STYLE 旅で潤う

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元気を発電し、五感が研ぎ澄まされる体験型アート

「これこそ私が求めていたもの」。栃木県宇都宮市の大谷石(おおやいし)採掘場跡に誕生した「元気炉」に足を踏み入れた瞬間、そう思った。

作品内は蒸気で視界がほぼ白く覆われ、レモングラスなどの薬草の香りが濃密に漂い、口いっぱいに吸い込みたくなる。熱さはあるのに苦しくなく、呼吸が喜んでいるかのような不思議な心地よさ。耳には鳥や蝉(せみ)の声、滴(したた)る水音と肌に纏(まと)う霧……サウナというより自然に抱かれるトリートメントのようだ。汗をかいて外に出ると、大谷石の天然の涼しい風と緑の光が迎えてくれる。

製作者の栗林隆さんは「水と薪と薬草があれば誰でもできるシステム。地元の人を元気にするには地元の薬草がいい」と語る。アートとサウナが溶け合った元気炉は、単なる癒しを超え、目に見えないエネルギーや自然との境界を感じさせる場所だった。

「元気炉」は、大窯で薬草を焚き、その蒸気をパイプで作品内に送り込み、鑑賞者がスチームサウナのような体験を楽しめるアートインスタレーション。名前の通り「元気を発電する炉」として構想された。現代美術作家の栗林さんは、健康と芸術を結びつけながら、人間が抱える問題や「境界」に気づくきっかけを作品に込めた。

元気炉 六号基 AZUMAYA

大谷石の採掘場跡地の地下空間に建つ「元気炉」。薬草を焚いた大窯の蒸気がパイプを通じて炉内を満たし、白い霧と香りと熱に包まれて五感が研ぎ澄まされる。タイ式の薬草スチームサウナに着想を得た体験型アート空間。

栃木県宇都宮市大谷町909-11

https://www.genkiro.com/

笹野 美紀恵

実家は、“サウナの聖地”として知られる静岡「サウナしきじ」。ホテルの温浴施設をプロデュースするほか、医療機関とオリジナルの薬草入浴剤を共同開発するなど、未病予防にサウナを活用する取り組みも行っている。

写真 中林 香 
編集 服部広子

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