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サウナの聖地 名古屋 セントレアを離着陸する飛行機と夕日のコラボが絶景

サウナの聖地 名古屋 セントレアを離着陸する飛行機と夕日のコラボが絶景

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飛行機の離発着も望める! 海が水風呂…日本初の「砂浜のサウナ」

陽光に照らされキラキラと輝く海と白い砂浜、南国ムード漂うヤシの木を眺めていると、まるで海外に来たような気分♪

中部国際空港 セントレアの対岸に位置する人工海浜「常滑りんくうビーチ」に、日本で唯一国有地である砂浜に常設されたサウナ施設をご存じですか。

その名は、「Steamers Beach&Sauna ®」。屋外でサウナを楽しむアウトドアサウナは数多(あまた)あれど、空港を離発着する飛行機をこれほど目の前で見られるビーチはほかにありません。

そしてなんと言っても、この美しいサンセット。嬉しいことに、サウナ室の中からも刻々と変わる空と海の色を確認することができました。

「夏には海水浴などで賑わうビーチですが、稼働しているのは2カ月間ほど。ほかの時期でもビーチを有効活用できて、地方創生に繋がるビジネスができないかと考え、そこで思いついたのがサウナ事業でした。営業認可を取るのに苦労しましたが、ロケーションは最高です。夕焼けに染まった海は、毎日見ていても飽きませんね」と、オーナーの星野さん。

太陽が照りつけるビーチでサウナに入りたがるなんて、人間とは変な生き物だなあと思いながらも、やっぱり入ると気持ちいい。海の水風呂は体がプカプカ浮いてビックリだわ、楽しいわ! 自然との一体感が味わえるのが、サウナの醍醐味ですね。

夏だけでなく秋、春も楽しめるビーチサウナ

知多半島の西海岸に位置する常滑は、目の前に伊勢湾が広がり、遠くには鈴鹿山脈を一望。山間に沈む夕日は、オレンジ色から茜色のグラデーションに色を変えながらわる空は、息を呑む美しさだ。空港を離発着する飛行機と夕日のコラボレーションは、訪れる人々を魅了してやまない。

また、絶好のロケーションといえば、“日本でいちばん飛行機に近い”と言われるセントレアのスカイデッキ(第1ターミナル4階)からの眺望もおすすめだ。スカイデッキか先端から滑走路までは300メートル、飛行機が滑走路まで移動する誘導路まではわずか50メートル程度、と飛行機を間近で見ることができる。

中部国際空港セントレアから車で約5分。海水浴で賑わう夏だけでなく、年間を通してこの絶景を楽しめる場所として誕生したのが、今回紹介するSteamers Beach&Sauna®だ。水着着用のまま男女一緒にサウナが楽しめるので、リピーターにはカップルも少なくない。

オーナーの星野さんは、東京でサラリーマンをしながら起業を目指すなかで、自身も趣味だったサウナ事業に着眼。出資者の自宅がある常滑に来て、このりんくうビーチの風景などに着想を得て、砂浜に常設のサウナをつくることを決意した。そして、2022年8月に施設をオープン。近年、ビーチリゾート系のサウナは増加しているが、ほかのアウトドアサウナとは一線を画す日本初のビーチサウナが誕生した。

「国有地である砂浜に常設でサウナをつくるというのは、過去に事例がなかったこともあり、行政の許可が下りるまでには半年ほどかかりました。実際、オープンしてからも、気候の変化による温度と湿度の調整など、ほかの施設よりもはるかに大変だということは痛感しています。海からの風の影響を受けやすいのは当然のことながら、特に冬場は、対岸の鈴鹿山脈から降りてくる風が非常に強い。サウナの体感温度というのは、湿度と風量で決まるので、風の強い日は営業できない日もあります。ただし、風のない日は秋や春でも営業していますし、海の水も綺麗なんですよ」(星野さん・以下同)

というのも、湾は夏場で風が吹かないときは水がとどまる傾向がある。波も穏やかで水の入れ替わりが少ないため、プランクトンが多くなる傾向が。

「年間を通して、水風呂は海を利用していただいていますが、夏季には、氷水のシャワーも準備しています。ビーチサウナは増えていますが、海が水風呂になっているところは、まだ数えるほどだと思いますよ」

奥三河の桧の香るオリジナルサウナ小屋 薪ストーブは呼吸が楽

施設には、フィンランド製のトレーラーサウナと奥三河の桧や杉を使ったサウナ小屋がある。こだわりは、桧の香に包まれながらサウナを楽しめることと、サウナ室に小窓をつくり、どの席からも座ったまま海が見えるようにしたこと。薪ストーブは、室温をムラなく均一に保つことができるのがメリットだという。

「薪を使用したストーブは、ヒーターからの輻射熱で空間を温めます。ヒーターから煙突に、煙突から石に、そして石から空間に伝わるので、いろんなところに熱が放射する。ガスや電気を使用したサウナとは違う感覚で楽しめます。また、普通のヒーターと比べると空気の循環が段違いなのもメリットですね。火は空気を燃料にして燃えるので、中の空気を取り込んで煙突から外にバンバン出している状態なんです。ストーブから空気を吸引し、同時に外から空気を供給しているので、空気の入れ替わりが激しい。いつも新鮮な空気のままでサウナに入ることができます。燃料費は高いですが、平日だと1時間1,500円~と利用料はかなり抑えめ。夏の間は、ワンコインでサウナ体験みたいなこともやっているので、ぜひ、サウナ初心者も楽しんでほしいですね」

常滑の焼き物 タイルとコラボ オリジナルサウナも構想

また、オリジナルのサウナ小屋は販売も行っている。

「ビーチという場所がただ遊びにくる場所ではなく、展示場みたいな感じで、実際にサウナを体験できて、購入できるというものにしたいと思っているんです。例えば、海の家を経営している方が、うちと同じような形でサウナをやってみたいという場合、うちのサウナ小屋を置いて販売も行っていただけるようにする。一つのモデルケースのような感じで、許諾の取り方からいろいろ行うコンサルティングみたいなことができたらいいなと思っているんです。今はまだ販売だけにとどまっていますが、すでに関東を中心に8台ほど入れていますね」

サウナの後は、BBQのほか、クラフトジンジャーエールやパッションライチなどの特製ドリンク、牛すじカレーなどもいただける。星野さん自身、サウナと飲食店を掛け合わせた事業を展開するのが夢だというから、その味はかなり本格的。

また、常滑は一千年の歴史を持つ六古窯の町として知られ、INAX創業の地でもある。土と焼き物、タイルなど、常滑で培われてきたものづくりの技術を生かし、独自のサウナストーンも開発中だという。

「地場産業と協力しながら新たなことに挑戦していきたいと思っています。年末年始、古民家でカウントダウンをしながらサウナに入ろうみたいなイベントをやりました。伝統の常滑焼は古くから急須で有名なんですが、いま、後継者不足などの問題もあり、つくられているところも限られてきているらしいです。大きなタイル工場なども多いので、そうした地場産業と一緒に何かやっていけたらいいなと思っています。例えば、常滑のタイルを使ったサウナづくりなど、いろいろチャレンジしていきたいと思っています」

案内人 笹野美紀恵

サウナ・温浴施設プロデュースのほか医療機関と連携し、新しいウェルネスの形を提案している。実家の静岡「サウナしきじ」を“聖地”と呼ばれる唯一無二の存在に育て上げた。

Steamers Beach&Sauna®

愛知県常滑市りんくう町2丁目りんくうビーチ

070-4002-1367

https://steamers-sauna.com

写真 安藤潔弥
編集 服部広子