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湯布院観光に新たなスパイス 食と自然が循環する「ENOWA YUFUIN」

湯布院観光に新たなスパイス 食と自然が循環する「ENOWA YUFUIN」

LIFE STYLE DEPORTARE

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温泉やサウナだけではなく、新たな食との出会いも大切にしたい。そんな最近のテンションにハマったのが、昨年6月、大分の由布院にオープンしたオーベルジュ「ENOWA YUFUIN」。

スパイスの魔術師による野菜料理は絶品

シェフ自ら土づくりから始めた自家農園を持つこちらでは、その日の朝に収穫された野菜を主役にした料理がいただけます。野菜本来の味とスパイスの余韻が残るソースは、まさに新感覚!

「スパイスもシェフが調合して作っていて、その腕は『スパイスの魔術師』と呼ばれるほど。食材に関しては循環を意識していて、生ごみなどを一切出さない食事を提供しています」(広報担当)

もちろん、温泉もサウナも最高です。プレミアム・スイート・ルームのインフィニティ・プールやサウナエリアからは、由布院の街並みが一望できてとっても贅沢。秋口から冬にかけては雲海も出て、それはもう雪の上のサウナみたいなんです!

薪ストーブは体の芯から温まるレベルもほかとは段違い。外気浴をしながら森の木々の葉が揺れる音に耳を傾けて……これぞ、私が目指す五感で楽しむサウナです。
日本有数の温泉地、由布院の新たなリトリートで心に潤いを。

由布院駅から車で約5分。森の中の雄大な敷地に10棟のヴィラと9つの客室のほか、レストランやサウナ、農園などを備える複合施設「ENOWA YUFUIN」。“ボタニカル・リトリート”をコンセプトに、地域と連携しながら食の循環やサステナビリティを意識したホテル運営をしている。

そもそもこのプロジェクトが発足したのは、「食をメインとしたリトリートをつくりたい」と考えたのが始まりだった。

「弊社の代表が、世界中のレストランを旅して回っているときにニューヨークのミシュラン二つ星レストラン『ブルーヒル・アット・ストーンバーンズ』を紹介され、そこで出会ったのが、現在、ENOWAのエグゼクティブシェフを務めるタシ・ジャムツォさんでした。代表の思いに賛同したシェフは、このプロジェクトのために日本に移住。食をメインにした施設をつくるのであれば、やはり食材の安全性を重視すべきだと考え、自ら農作物を栽培する自家農園を立ち上げました。京野菜の匠と称される石割照久さんを招いて畑の土づくりから始めて、今では、シーズンの野菜や果物、ハーブなどを約150種類以上、有機農法による少量多品種目栽培で育てています」(広報担当・以下同)

ブルーヒルといえば、野菜や卵をはじめ、乳製品、肉など全ての食材を自家農園でまかなうレストランで、世界中に広がる食に対する考え方“Farm to Table”(農場から食卓へ)のパイオニア。ブルーヒルで4年間スーシェフを務めたチベット出身のタシシェフは、Farm to Tableの一歩先をいく、“畑がメニューを決める”〈Farm-Driven〉をコンセプトに、ENOWAを運営している。

「シェフは毎朝、自家農園へ出かけて、旬の食材を選り分け、その日いちばんの食材からメニューを考える。それがシェフの目指すFarm-Drivenで、レストランのメニューがフレキシブルなのもそのためです」

また、ENOWAの名前は、『縁の輪』が由来で、“サークル・サイクル=循環”を意味している。

「食の循環、資源の循環など、環境に配慮したサステナビリティを実現させる“循環型”の施設を目指しています。例えば、ENOWAでは1月から養鶏場を始めました。料理を作る過程で出たくず野菜を鶏が食べるものと食べないものに分け、食べるものは鶏の餌に、食べないものを畑に戻して堆肥にするなど、生ゴミを一切出さない取り組みを行っています。安全な食材をテーマに、地産地消、サステナブル、そして食材の廃棄ロスを目指しながら、美味しいお食事をご提供しています」

そうしたシェフのこだわりは、客室のインテリアや家具などの空間づくりにも反映されている。テーマは、“プリミティブラグジュアリー”。

「床や壁には木や石、土といったプリミティブなマテリアルを多用し、質感を生かしてあまり手が加えられていないのが特徴です。華美な装飾ではなく、素材本来のよさを感じてもらいたい。これは食に通じる思いです。そして、部屋のなかにいても自然を感じていただけよう、自生している植物や、阿蘇の溶岩をくり抜いた石のオブジェなどを置いて、心地よい空間を演出しています」

大地の恵を食し、自然を感じる空間で非日常を満喫するボタニカル・リトリート。2階建のホテル棟にある9室の部屋には全て由布院の天然温泉が引かれ、プライベート入浴が楽しめる。

由布院の盆地を見下ろすように造られたサウナは、薪を使ったストーブを使用。
一年中16度から18度の一定の温度に保たれる水風呂は水深120cmあるので、立ったまま肩まで浸(つ)かることができる。 

「サウナルームや外気浴エリアからは、豊かな自然と由布院の市街地が一望できますが、これほどの眺望は、由布院でもENOWAだけだと思います。もともとこの辺は“朝靄(もや)の町”と言われていて、夏場でも靄が出やすい地域なんです。秋口から冬にかけては雲海が出ることも多く、とても幻想的です」

企業理念に掲げる「地方創生」「ダイバーシティ」をもとに、地域の人々の協力を得ながらENOWAを運営していくことがこれからの目標だという。

「うちだけでは賄えない食材などは近隣の農家さんにご協力いただいています。また、別府市の立命館アジア太平洋大学のサステイナビリティ観光学部の先生と一緒に、今、無農薬野菜の作り方や有機栽培の方法などの意見交換をしながら、これまでに4回ほど収穫イベントをさせていただいています。今後は子供食堂の子供たちを招いて収穫したり、一緒に食事を作って食べたり、といった活動にも力を入れていきたいなと思っています」

笹野美紀恵

サウナトータルプロデューサー。実家は、“サウナの聖地”と称される「サウナしきじ」。サウナ・温浴施設プロデュースのほか医療機関と連携し、新しいウェルネスの形を提案している。

ENOWA YUFUIN

大分県由布市湯布院町川上丸尾544

TEL 0120-770-655(予約センター)

https://enowa-yufuin.jp/

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編集:服部広子