マイルで巡る空港ラウンジ食い倒れ旅 機内食と交互に地元の名物を楽しむ
急に何かがしたくなって、いてもたってもいられなくなって行動を起こしてしまうというパターンが多い。医者に診てもらったことがあったが、「正常の範疇(はんちゅう)」だという。突然したくなる中でも、食に関しては本当に今すぐアレを食べなくてはいけないみたいな切迫感に駆られ、それを食べに行くために国内であろうと海外であろうと、勢いで航空券を予約してしまうということが頻繁にある。自分でも制御できない病気じゃないなら何なの?と問うも、それで何かひどい目に遭ったとかそういうこともないのでよしとしてきた。

友人のSNSに、どこそこで美味(おい)しいカレーを食べたなどと紹介されていると、自分の場合そこへ行ってみたいとはならず、もっと美味しいカレーを探しに行ってみようとなってしまうのである。近所にあるカレーチェーン店、地方の特徴のあるカレー、例えば札幌のスープカレーや大阪のスパイスカレーよりも、何ならインドに直行、本場のカレーを食べたほうがよいのでは?となる。こんなときのためにコツコツとマイルを貯めてきたのだと自分に言い聞かせつつ、スターアライアンス特典航空券でルートをひねくり出すことにした。
カレーだけじゃなくて、せっかくならフランクフルト空港でフランクフルトソーセージを食べ、ついでにコペンハーゲン空港でハーゲンダッツも食べるとか、連鎖的に本題と外れて脱線してしまいがちなのもお決まりのパターンだ。極端な回り道を楽しみつつ、インディラ・ガンディー国際空港のラウンジで本場のカレーをガッツリ食べてこようと思いたち羽田空港を出発。機内食、空港ごとの何がしかを口にして、また次のフライトで機内食を楽しむ、というのを繰り返すのが自分にはピッタリだ。空港から外へ出て街中に移動する“かったるさ”から解放された食に徹した乗り継ぎ旅は楽チンそのもの。もちろん預け手荷物もナシ。

フランクフルト空港内にあるルフトハンザ航空のセネターラウンジではフランクフルトソーセージが提供されていた。ボイルの仕方もマスタードやケチャップの用意も完璧で、チーズが絡んだプレッツェルなど地元の名物と一緒につい食べ過ぎてしまう。次いでコペンハーゲン空港の保安制限区域内にもぶっとくて美味しいソーセージが挟まったホットドッグのスタンドがある。ベーコンを巻いたソーセージやハーブがきいた極太のソーセージなど酪農大国デンマークのホットドッグは世界で一番のクオリティーだと断言したい。出国手続き後のラウンジは眺めもよく、航空機の離発着も楽しめ気分が上がったのだが、お目当てのアイスクリームはなかった。が、次のフライトの機内食では、カレーにアイスクリームと、デリー到着前に目的を完遂。食欲は衰えるどころか俄然(がぜん)ヤル気が増してくるのだった。
〜つづく
イラストレーション/ソリマチアキラ
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
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