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西オーストラリアを旅すると思考が溶けていく ピンクの湖ハットラグーンがもたらす静寂 

西オーストラリアを旅すると思考が溶けていく ピンクの湖ハットラグーンがもたらす静寂 

TRAVEL 2026.03 西オーストラリア特集

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パースからシャークベイへ向かう、通称コーラルコースト。
西オーストラリア州の中でも、とくに人の気配が薄く色の変化が濃密なエリアだ。

この道を走っていて強く意識させられるのは、景色のスケールよりも、色の移り変わり。

南半球の春から夏にかけて、エバーラスティング・トレイルにはその“色の主張”が一層強くなる。地面が淡い色の層が地形に沿って広がっていく様子は、ある意味“砂漠の中のオアシス”のようでもあり、気持ちが和む。

ムレワやモラワのあたりでは、エバーラスティングのやわらかな色の中に、ブルー・レシュノルティアやペインテッド・フェザー・フラワーが、点描のように混じっていて、風が吹くと、その色がゆっくり揺れる。まるで巨大な布を大地に広げ、それが呼吸するように動いているようにも見える。

コースの途中、劇的に変わる色彩の中で最も衝撃的な色彩といえば、ハットラグーンと呼ばれるピンクの湖。名前は知っていたし、写真でも見たことがある。しかし実際にこの色を目の当たりにすると、それは想像を遥かに超えている。あまりに完璧で見事なピンク色は、むしろ人工的ですらあるのだが、しかしあくまで自然の偶然が重なったことで見せる色。藻の作用や、光の角度などの条件が重なりこの色になっているのだというが、しかしそんな説明を理解するより先に、眼の前の色に圧倒される。

自然が見せてくれる圧倒的な色の前では、思考も意識も静かに止まる。またここに戻って来たいと思う理由は、色の中で、何も考えずに立っていたあの感覚にあるのかもしれない。

写真 高砂淳二
取材・文 山下マヌー

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