お茶の仕上げは卵の黄身!? 韓国カフェブームの源流タバンを探訪
ソウルにカフェが多くでき始めたのは、ここ10年ほどのこと。このブームの前には「タバン」と呼ばれる、日本でいう純喫茶のような喫茶店が多く存在した。今もなお存在する「タバン」は、どこも数十年以上営業を続けており、昔から地元の人に愛されてきた名店ばかりだ。最近話題の行列ができているカフェのように、おしゃれで洗練された雰囲気はないかもしれないが、居心地のよさは抜群。ソウルの街中では味わえない、ゆっくりとした時の流れを感じることができる。
【学林茶房】街の喧騒から離れてゆったりと過ごすなら
1956年創業、ソウルで最も古い喫茶店として知られる「学林茶房」。かつて店の前にはソウル大学(現在は別の場所に移転)があったため、民主化運動を主導した大学生たちが集まり、彼らの議論の場になっていたそうだ。また演劇や文学などの多くの文化人たちもここでコーヒーを飲みながら、会話を楽しんでいたという。
ソウルが駆け抜けてきた激動の歴史を見つめ、刻々と進化していく街を穏やかに受け止めてきたことが評価され、未来世代に伝える価値のある有形・無形の資産「ソウル近・現代文化遺産」に選定された。
「学林茶房」には、長年の常連客はもちろん、若い世代もよく訪れる。店が重ねてきた、月日の豊かさを感じていると、緊張や疲れで張り詰めていた気持ちがほっとほぐれるから。
壁にびっしりと書き込まれたサインや落書き、年季の入ったテーブル、そして店内で流れるクラシック音楽を愛でながら飲むコーヒーは格別だ。
近所にある系列店のロースターで焙煎された豆を使ったドリップコーヒー。深煎り、浅煎りなど好みの味を選択できる。開店当初は、インスタントコーヒーが主流だったが、1980年代にハンドドリップを始めた。
학림다방(学林茶房)
【乙支茶房】40年近く愛され続ける生卵入り特製ドリンク
1985年創業。名物は、ナツメや、ショウガ、高麗人参をブレンドした「韓方双和茶」。仕上げに卵の黄身を入れて混ぜ合わせるのが特徴だ。自然な甘みがあり、クセになる。この味に魅せられて、創業以来毎日のように通い続ける常連客もいるそうだ。
スプーンを使って、黄身に熱いドリンクをかけていく。半熟にさせてから混ぜる。
都市の再開発計画により、3年前に移転を余儀なくされたが、椅子やテーブルは開店当時から使っているもの。店の雰囲気は変わらない。
「韓方双和茶」の作り方や配合の詳細は、店主のパク・オクブンさんいわく「企業秘密」。BTSの撮影でロケ地として使われたため、ファンも多く訪れる。
을지다방(乙支茶房)
ソウル特別市中区乙支路124-1 2F
【太極堂】次の世代に伝えたいソウルフード
ソウルでは知らない人はいない、最も古い歴史を持つベーカリーが手がけるカフェ。1946年に創業した本店をなるべく手を加えずに、活用。
태극당(太極堂)
写真 平松市聖
取材・文・編集 高田真莉絵
コーディネート Shinhae Song(TANO International)、長嶺典代
ソウルへの翼
東京国際空港(羽田空港/HND)から金浦国際空港(GMP)までANA直行便で約2時間15分。
空港から街の中心地までは空港鉄道A’REXまたは地下鉄で15〜30分。
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