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コーヒー消費量は世界平均の3倍 競争社会・韓国のカフェが提示する未来像

コーヒー消費量は世界平均の3倍 競争社会・韓国のカフェが提示する未来像

TRAVEL 2024.06  ソウル特集

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K-POPやドラマ、映画の大ヒットにより世界での存在感を増している街、ソウル。パワフルで勢いのあるこの街は、最先端のカルチャーやアートに溢れており、文化的な雰囲気が漂う。その一方、苛烈(かれつ)な競争社会が存在するのも事実だ。競争社会に生きる人々を癒すためなのか、街中には驚くほどカフェがたくさん存在する。

毎日のように新しいカフェがオープンするここソウルに来たのなら、注目の店や、激動の歴史を見守ってきた老舗を訪ねてみよう。現地の人と一緒に、コーヒーの豊かな香りに包まれながら一息つけば、隣国の新たな魅力に気づくだろう。

【FRITZ DOHWA】コーヒーを通じて持続可能な社会を

大人一人が一年間に飲むコーヒーの量は世界平均の約3倍といわれている韓国。この地で生活する人たちにとって、「食後の一杯」や、カフェでのおしゃべりの時間は日々の暮らしに欠かせないものになっている。特に韓国の首都であるソウルを散策してみると、そのデータを肌で感じることができるだろう。

様々なジャンルのカフェが、驚くほど多く立ち並んでいるからだ。ここまでカフェ文化が根付いているのは、急激にグローバル化が進み、競争社会が激化した社会背景にあると見ることもできる。一杯のコーヒーを飲みながらおしゃべりをする時間に、多くの人が癒しを感じているのだ。

カフェ激戦区のソウルにて、不動の人気を誇る店の多くは、勝者と敗者を決める社会に、きちんと「NO」を突きつけている。店で働くスタッフはもちろんのこと、コーヒー豆の生産者たちのことも家族のように思っているのだ。

ソウル市内に4店舗を持ち、800社以上にコーヒー豆を販売する「FRITZ」は、100人以上のスタッフをみな正規雇用し、安定した暮らしを送れるようサポートしている。生産者たちとも家族ぐるみの付き合いを続け、いわばみな「同志」のような存在だ。「未来を切り開いていけるような店にしたい」と話す、オーナーの一人キム・ビョンギさんは、人権問題を大学で研究した経歴を持つ。「コーヒーを通じて、みなが幸せに暮らしていける社会を作るのが目標。持続性の高い社会を築いていきたい」。

創業者の一人であるキム・ビョンギさん(中央)とスタッフ。「飲食店は離職率が高く、安定しないのが一般的だったが、スタッフの人生のためにそんな常識は覆していきたい」

じっくり一杯ずつドリップ。ドリップコーヒーは一杯5,000W〜。
あざらしのイラストがこの店の目印。パッケージのデザインは専属のビジュアルチームが担当。
その日の水質や温度によってコーヒーの味が変わるため、日々記録を残している。

平日でも店はほぼ満席。ソウルの人々にとっていかにカフェ文化が根付いているかがわかる。

프릳츠도화점 FRITZ DOHWA

ソウル特別市麻浦区セ倉路2ギル17

https://www.fritz.co.kr

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【COFFEE LIBRE】コーヒーを好きになると人の大切さに気づいていく

ブラジル映画に登場する仮面レスラー「ナチョ」が目印の「COFFEE LIBRE」は、ソウルにおけるスペシャルティコーヒーのパイオニア的存在。250以上のコーヒー豆農家をすべて訪ね、ダイレクトトレードをしている。また、「コーヒーの供給に関わる人すべてが幸せになるべき」という想いから、支援も続けている。スタッフたちの自主性を重んじており、ソウルにある4店舗すべてにオリジナルメニューがあるのも特徴。バリスタのソンヨンさんは「ここで働くことで、自尊心が高まる」と語る。

本店オリジナルの「カフェグラニタレモンソルベ」(期間限定)。

週替わりで6〜8種類の豆から選べる。様々な人に味わってほしいとの願いから、価格は抑えめ。

優秀なバリスタが在籍。バリスタのヘビンさん。
オリジナルのドリップポッド。創業者が保護猫活動をしているのにちなみ、パッケージには猫のイラストが。

커피리브레연남(COFFEE LIBRE)

ソウル特別市麻浦区ソンミサン路32ギル20-5

https://coffeelibre.kr

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【BIROSO COFFEE】華美な内装はいらないコミュニケーションが重要

「派手に成功することは求めず、ここで暮らす人たちの憩いの場でありたい」という願いを込めて、2016年にオープン。自分の理想を見失わないよう、あえて地味なエリアに店を構えた。

子どももペット連れも入店OK。店の近くにはヨントラルパークと呼ばれる都市公園がある。

「空間が与える印象より、人とのふれあいを大切にしたい」から、他の人気店に比べると内装はシンプルだ。オーナーのキム・ヨンチャンさんに「なぜ、ソウルでカフェが流行っているのか?」と尋ねたところ、「癒しが少ないから、カフェでおしゃべりをして心を休めたいのだろう」と答えてくれた。

店名の「BIROSO」は、韓国語で「やっと」という意味を持つ。

店内でスタッフが焼くクッキーやケーキも人気。

香りをかいでから、好みのコーヒーを注文。

カップに注ぐと、ふわっと豊かな香りが広がる。

비로소커피(BIROSO COFFEE)

ソウル特別市麻浦区光成路6ギル42

https://www.birosocoffee.com

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写真 平松市聖 
取材・文・編集 高田真莉絵
コーディネート Shinhae Song(TANO International)、長嶺典代

ソウルへの翼
東京国際空港(羽田空港/HND)から金浦国際空港(GMP)までANA直行便で約2時間15分。
空港から街の中心地までは空港鉄道A’REXまたは地下鉄で15〜30分。

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