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16歳から飲める? 流石うなづくドイツのビール文化とオクトーバーフェスト事情

16歳から飲める? 流石うなづくドイツのビール文化とオクトーバーフェスト事情

TRAVEL 2025.07 ミュンヘン特集

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「お酒は20歳になってから」。日本では当たり前のこのルール、大抵の国も18〜20歳前後が飲酒可能な年齢となっている。では、今回取材したミュンヘン—つまりドイツはどうかというと、なんとビールは16歳からOKだという。さすがオクトーバーフェスト発祥の地、ビールの国ドイツ。どうやらここではビールは“別もの”扱いらしい。(正確にはビールを含む低アルコールドリンクが16歳からOK)。

この“ビール別もの扱い”は、日常のあらゆる場面で感じることができる。たとえば週末の電車や町中。レザーヘーゼンと呼ばれる民族衣装に身を包んだ若者たちが、半ダース入りの瓶ビールを携え、立ち飲みしながらグビっとやっている光景を頻繁に目にする。日本でなら、そういうことをするのは、大抵は酔っ払いくらい?

ところがドイツで遭遇した“車内でグビッ”の人たちは大声を出さないし、座り込むこともない。だから周りから白い目で見られることも、注意されることもなく、行儀よく飲んでいる。たまたま遭遇したのがそういう日だっただけかもしれないが、それにしても、ほぼ全員が“スマートに”飲んでいたというのには驚いた。

「ビールは16歳からOK」のほかにも、ドイツにはビールに関するユニークなルールがある。たとえば、「レストランではビールの値段より安いノンアルコール飲料をメニューに用意しなければならない」。どういうことかというと、意見はいろいろあるものの、「ビールがあまりに安すぎるため、子どもがビールを注文しないように」という理由が大半らしい。「子どもがビールを飲まないため」と言いつつも、しかしながら「ビールは16歳になってから。ただし親と一緒ならそれ以下の年齢でもOK」…。とにもかくにも、ドイツではビールが“アツい”ということだけは、はっきりしている。

「純正令」というルールもある。これは「ビールは麦芽・ホップ・水・酵母のみで作られなければならない」という決まり。これを守っていなければ、ビールと名乗ることはできない。日本では発泡酒や第三のビールというカテゴリーが税率によって分かれていたが、ドイツはそんな曖昧さはなし。素材できっちり定める…まさにドイツ人気質の生真面目さを感じさせるルール。

近年、日本でも盛んに開催されるオクトーバーフェスト。これはバイエルン地方で行われる祭りの総称で、世界最大級の規模を誇るのがミュンヘンで開催されるもの。オクトーバーフェストの期間中(10月の第1日曜日を最終日とする16日間)、人口約150万人のミュンヘンに600万人超の観光客が押し寄せる。会場で提供されるビールにも厳格なルールがあり、「ミュンヘンの水脈を利用して醸造されたビール」でなければ提供は許されない。現在、その条件を満たしているのは、シュパーテン、アウグスティナー、パウラナー、ハッカープショール、ホフブロイ、レーヴェンブロイの6社のみ。期間中は、この6社が「オクトーバーフェスト用の特別なビール」を醸造し、会場で販売するのだが、販売されるビールは、麦汁濃度が13.5%以上、アルコール度数は5.8%〜6.4%と、ここにもまた厳密なルールが存在する。

…と、ここまで書いてくると、ドイツのビールに関するルールは実に多い。正直、「たかがビール、楽しく飲めればいいじゃないか」と思いたくなる。しかし、ドイツ人にとってビールは文化であり、なくてはならないもの。時に厳しすぎると思えるほどのルールを設けることで、世界中の人々に愛されるビール作りが続いてきたのだろう。ということで、Prost!(乾杯)

取材・文 山下マヌー
写真 Dice.M.P.

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