スンバ島の子供たちからのアツいもてなしに、涙 ~インドネシア 森と島を守る5
島のリゾートNIHI SUMBAと島の生活向上のために作られたスンバ財団は、島の人々の信仰する宗教や文化をリズペクトしつつ、村人の教育、衛生、水の確保、子どもたちの教育をサポート、島の人々との共存を図っている。リゾート滞在中は希望すれば財団の行ってきた活動の成果を見て回ったり、いくつかのボランティアに参加することも可能だ。
スンバ島で活動するスンバ財団の主な活動は1.衛生の向上、2.子どもたちの栄養状況の改善、3.水源の整備と確保、4.教育の4つ。1を達成するために現在4つの診療所を設立。マラリア感染率を大幅に下げることに成功。3の対策として清潔な井戸水を汲み上げるディーゼルの装置を360箇所設置。約2万5千人分の水源を整備。4は子どもたちが将来観光業界で働けるようにと英語とマナーを無料で教える。2の子どもたちへの栄養改善については、無料で給食を配っている(各学校を順番に)。
観光客も学校で給食を配るボランティア活動に参加することが可能。島の子どもたちが学ぶ小学校を訪ねて触れ合うという機会は、かなり貴重な体験。
今回訪れた学校の中の一つでは、子どもたち全員と校庭で対面していたとき、突然一人の女の子が「皆さんに歌を聴いてもらいたい」と前に出てきた。しかし自分から歌いたいと前に出てきたものの、いざとなるとやはり恥ずかしくなったのか、なかなか歌い出せない。ようやく歌い出したその声は、か細いながらも美しい歌声。その間、ほかの子どもたちもシーンと耳を傾けている。誰一人としておしゃべりしたり、座り込んだりすることもなく、だ。女の子の歌声だけでなく、その子どもたちの美しい心と姿勢にアツいものがこみ上げてきて、涙。気がつけばカメラマンも通訳も、財団のスタッフもみんな涙・・・。
仕事で豊かでない場所に行くこともある。そういう場所ですれ違う子どもたちの多くは、こちらが外国人だとわかるとウワァーと寄ってきて、手を差し出しお金やお菓子をねだってくる。それはそれで生きるために仕方なくやっていることであり、子どもたちを攻める気はもちろんない。
インドネシア最貧の島ともいわれるスンバ島の子供達は、そうではない。みんなお行儀が良いのだ。無料で配られる給食を待つ間も決して割り込みをしたり、列を乱したりすることはない。子どもたちの多くが昨日の夕方から(下手をすれば昨日の給食から)ほぼご飯を食べていないというのに、だ。
自分の食生活のみならず、人との触れ合い方、もてなす心・・・スンバの子どもたちから学んだことは多い。
写真、取材、文:山下マヌー