ハワイ旅行の新たな視点 古代ハワイアンの文化の中心にあるタロイモと水
現在ハワイでは外来種の増殖が問題になっている。ハワイ本来の生態系を崩しているのだ。しかしここで大いなる疑問がある。海底火山の爆発により、突然太平洋の真ん中に姿を現したのがハワイ。そもそも何もなかったのだから、島にある全てが外から来たもの。つまり外来種という考え方ができるのではないかという疑問。クアロアランチで古代ハワイアンの文化と伝統を啓発しているラエさんに、その疑問をぶつけてみた。
笑いながら「確かにそう言われればそうですね」と答えたあとに続けて「ココナッツなど海を漂い自力でハワイに根付いたもの、ポリネシア人が持ってきたものが固有種とされています。クアロアランチでは昔からの自然形態を守ろうとしていますが、それでも毎日外来種の侵入との戦いです。毎日湧き水や川の流れや外来種をチェックし駆除をすることで、クアロアの山は美しいままでなんとか保てています。外来種は放っておくと、知らず知らずのうちに本来あるべきハワイの姿を変えていってしまう、恐ろしい存在でもあるのです」
「本来あるべきハワイの姿は、きれいな水が保たれていることで成立します。クアロアの土地を譲り受けたモーガン家族は、将来にわたりきれいな水とその流れを維持していくことを約束。山に降った雨水が山を潤しタロイモや植物を育つのを助け、海へと流れ込むという古来のままの水の流れを保っているのです」
ところで、少しばかりハワイに詳しい人であれば、ハワイ語のWai(ヴァイと発音するのが正しい)=水という意味だということを知っている人も少なくない。Waikiki, Alawai, Waimanaloのように“Wai” 水 に関する地名が多いことに気づいている人もいることだろう。つまりそれだけ水が豊かな島であるのと同時に、ラエさんによれば「水の管理がとても上手だったということの現れ」でもあるという。
「WAIは水という意味ですが、WAI WAI(ヴァイヴァイ)はお金持ちという意味です。つまり川や湧き水を管理している人がお金持ちになっていたのだと思われます」
ハワイは豊かで水には困っていなかった。しかしながら管理するのは大変で、それを上手くできた者がお金持ちになれたということなのだろうか。
最後に、ラエさんが観光客に期待することはなにか?と尋ねてみた。
「少しの時間でもタロイモ畑に触れてほしい。タロイモを収穫したり、植えたりということを体験したら、ハワイのことがもっとよく分かると思います。日本人の人々にとっての田んぼと同じくらいにハワイアンの人々にとってタロイモ畑は大切な場所。タロイモ畑そのものがハワイの文化と密接に関わっているもの。ハワイ人の主食であるタロイモと触れ合うことで、ハワイの水、文化の真髄に触れられるのです」
次のハワイ、タロイモ畑で泥だらけになってみるのも悪くない。
取材・文 山下マヌー
写真 高砂順二
<ハワイへの翼>
日本からANA 直行便利用でホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL)まで約7時間。空港からワイキキ市内まではタクシーで約30分、バスでは約1時間。
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