ハワイ・オアフ島 水が循環する島のパワースポット「ワイメア」
オアフ島の北部に位置するワイメアバレー。なんとなく名前を聞いたことはあるという人は多くても、実際に出かけたことがあるという人は少ない(その理由は不明だが)。とはいえそれは日本人旅行者に限った話で、アメリカ本土からの観光客には人気が高い。約2000エーカーもの広大な自然保護区を含む、緑豊かなこの場所にはハワイ特有の植物を中心に約5000種もの熱帯植物が生息。
ワイメアバレーはその名前のとおり渓谷なのだが、最も人々が集まる場所は落差約15メートルのワイメアの滝。入場ゲートから徒歩で約20分程度の場所にある滝は泳ぐことができる。少し前までは遊泳禁止だった記憶があるのだが、いつのまにOKになったようで、地元も観光客も滝壺で泳いでいる。もっと前の記憶を辿れば、たしかここで飛び込みパファーマンスショーのようなものをやっていて、それを見たような(もしかしたら勘違いなのかもしれないが)曖昧な記憶もある。
ワイメアの滝へ流れ込んでいる水は、主にワイメア渓谷の高地で降った雨が、長い年月をかけて地中に浸透し、地下水脈を形成。最終的に滝となって地上に出てきた水だ。ワイメア渓谷は年間を通して(特に冬期)は降水量が多く、多量な雨水が地下に浸透し、水脈を潤している。
ワイメアに限らないが、古来ハワイの人々が水に困ることがなかったのは、この雨水が地下に浸透するということが重要なのだ。雨水は地表から浸透し、長い年月をかけて地下に染み込みそして蓄えられる。その後水脈となり、滝もしくは湧き水となって地表へと溢れ出てくる。そんなハワイの自然のシステムが機能しているからこそ、今でも水に困ることはないのだ。もし地下に浸透することがなければ、降った雨は川となり海へと流れ出てしまい、水を蓄えることはできないのだ。
なぜ、川とならずに地下に浸透していくのか。それはハワイの土地が、水の浸透しやすい多孔質の岩石で構成されている部分が多いからだと考えられている。この地質構造こそが地下水脈の形成を促しているのだ。それに加えて、ハワイ固有種の様々な植物たちも水の“貯蓄”に一役買っている。とくにワイメアバレーには様々な種類の植物が生い茂り、これらの植物が雨水を吸収し土壌を保持する役割を果たしている。このため、雨水が一気に海に流れ出すことなくゆっくりと地下に浸透していく。
落差約15メートル足らずとはいえ、雨の日の翌日などにはその水しぶきは豪快なものとなり、そうでない穏やかな日には、マイナスイオン浴びている感覚に包まれるワイメアの滝。この滝にはハワイの自然のサイクルとシステムが凝縮され、それらが可視化できる場所。またここは、ハワイアンの伝統が息づいている場所であり、自然の力を象徴する存在。古くから人々はこの滝で身を清め、自然と一体になることを大切にしてきた。古代ハワイアンの集落が栄えた場所であり、多くの儀式が執り行われた神聖な土地。バレー内に点在する歴史的な遺跡や石碑は、その証として現在も保存されている。
ワイメアバレーは単に美しい自然を鑑賞するだけの場所ではない。この地を訪れることはハワイの歴史と文化に触れる貴重な機会となる。
取材・文 山下マヌー
写真 高砂順二
<ハワイへの翼>
日本からANA 直行便利用でホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL)まで約7時間。空港からワイキキ市内まではタクシーで約30分、バスでは約1時間。
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