フラと自然とマラマとALOHAの関係〜島いっぱいのALOHA-5
フラの神様ラカは森の中に住んでいたとされ、フラは自然と強く結びついている。フラとハワイの自然との繋がり、さらにはアロハとは?競うフラではなく、フラをすることで「みんなが家族になれる」という考えを持ち、誰にでも平等にフラを学べる環境を作っていこうとするクムフラ、マンディさんに聴いた。
「フラと自然とは切っても切れない強いつながりがあります。人が集まるときなどに唱えるメレやチャントの全てが、『私達人間が集まるけどいいですか?』と自然に対して唱え、赦しをもらい、敬うために行うものです。使う楽器や身につけるものもハワイの自然からもらってきたものです。シダの葉を採るときにも『採ってもいいですか?』と自然に対して赦しをえてから採ります。フラは自然と深く繋がっているものだし、感謝し、学ばせてもらうものだというのがフラのベース。
ということは、フラはハワイの自然がなければ成立しないものですか?
「そういう質問はナンセンス。フラの神様のラカがフラを作り、それは自然があったから生まれたもの。だから私達は自然をケアし大切にしなくてはならない。フラと自然はともにあるものです」。
ハワイの人々にとってハワイの自然はどういう影響を与えているのでしょう?
「自然=人生そのもの。私達は自然の中から生まれてきたと考えています。ハワイの豊かな自然があったからこそハワイ古来の生活様式は成立していたし、それを守っていくことが大切。つまり私達は自然の中の恵みから始まっているということ。だから私達は自然をケアする必要があるし、自然へのお返しをしないといけない。それがマラマという考えに繋がっています。自然を守り持続していくことが大切。そうしないと植物は育たなくなる。だから“土地”として残すことが大切」
「ハワイの土地で育った食べ物を食べることで人間は幸せで健康になると私達は信じています。食物を育てることで海もきれいになるし空気も水もきれいになる。そうすればハワイがさらに美しくなっていくのです。
食べ物だけでなく、フラもロミロミもそう。人間らしい生きかたのために、ハワイには自然から生まれたものがたくさんあるのです。
「人間と自然はシスターの関係。フラと自然も同様。一心同体で運命共同体。メレやチャントを自然に対して唱えているのは、自然は自分たちの先祖でもあると考えているから。つまり自然がなければ今の自分達はこの世に存在しない。そのことをチャントを唱えることでより強く認識し、言霊としてさらに強いものになると信じられています。言霊を唱えて踊ることで、自分たちが強くなれるし繋がっていくのです。
元々この世には自然しかなく、人間はいなかったということを思い起こさせる。自分たちの先祖である自然を守り続けていかなくてはならないということを、みんなと共有していくこともフラの役割だと思います」
「自分の気持に正直にありがとうと言える心をもつこと。フラを踊れているだけでありがとうと思える気持ち。ハワイというスペシャルな場所に住み、好きな踊りを踊ることで先祖や自然と繋がれる日々に感謝する気持ち。踊ることで精神的に癒やされ、気分がよくなるというのはそれだけで特別なことだし、それがアロハに繋がる。こんな素敵な場所に住めているということがどんなに恵まれ、ありがたいことなのかということを実感する。そういうことがアロハにも繋がっていくのです。コンクリートばかりの大都会の中にいればそんな気持ちにはなれないし、ハワイの自然があってこそ、アロハな気持ちになれるのです。
人だけでなく、自然に対してもアロハな気持ちを忘れてはいけません。見返りを求めないというのがアロハのベースにあります。自然を大切にしていくというのは最終的には人間に必要で大切なもの。自然は決して人間に見返りを求めたりせず、たくさんのことやものを与えてくれています。それと同じ気持ちを私達も持つべきなのです。
観光客に対してなにか思うことはありますか?
「日本の人はハワイに対してリスペクトしてくれていることをとても強く感じています。ハワイに来てくれることは嬉しいし、観光客が来なければ島は終わってしまいます。皆さんが来てくれればラハイナ復興のサポートにもなるので、是非来てほしいと多くの人が願っています。
撮影/内田恒
取材・文/山下マヌー