SNS映えする鮮やかさの背景に 釜山へ来た避難民の「保存と再生」の願い
歴史と現代文化が交差する港町・釜山は「韓国の台所」。海の気配に包まれるこの街では、食とアートが人々の日常と溶け合っている。
ソウルとはまた違う時間が流れるこの場所では、港町らしい活気ある市場文化や、廃工場から生まれたアート空間が華やぐ。
その背景には、釜山を栄えさせた戦後の人々の努力とエネルギーが、ずっしりと根を張っていた。

目の前に広がるのは、カラフルな家々が寄り添う、物語の世界のような風景。昨今のSNS映えや韓流アイドル人気が市民権を得た時代にも注目される甘川文化村だが、その美しさの奥には、釜山の人々の記憶と祈りが息づいている。

歴史は1950年代に遡る。朝鮮戦争によりソウルが没落後、釜山が避難首都となり、中心部に暮らせなかった人々が山の斜面に身を寄せ合うように家を建てた。それがこの村の原型だ。時を経て2009年、村の活性化を目的として「釜山のマチュピチュを夢見る」プロジェクトが始動。政府と地元の芸術家の手で、壁画や彫刻、アートがちりばめられ、光に包まれた。再生と未来への願いを込めて塗られた色。歴史と哀歓が息づく姿に、色鮮やかにアートを纏った街並みが今も物語るのだ。




取材・文・編集 中野桜子
写真 金子斗夢
通訳・コーディネーター ウォン・ガビン
コーディネーター 前園亜耶
Special thanks Milano
翼の王国のアンケートにぜひご協力ください。
抽選で当選した方にプレゼントを差し上げます。
釜山への翼
釜山へは、東京(羽田空港)などからANA便でソウル(金浦空港)へ。ソウルからKTX(韓国高速鉄道)または韓国国内線飛行機で釜山へ。福岡空港から直行便飛行機や船便も出ているので、その際は福岡空港までANA便をご利用ください。