バンコク・エラワン博物館で時間と精神の旅を体験 ビンテージが根付く文化空間をいく
バンコクにビンテージ文化が根付き、若者たちが古いものから新しい創造を生み出す背景には、単なる懐古趣味ではなく、「時間への敬意」と「共有の精神」があると、現地の人々は語る。古いものを隠すのではなく、むしろ解放し、分かち合い、未来へと手渡す。その思想は、街の至るところで静かに息づいている。
その象徴が、サムットプラカーンにそびえるエラワン博物館。三つ頭の巨大な象の下に広がる内部空間は、壮麗な階段とステンドグラスの天井が織りなす“祈りの光”に満ちている。
神話と歴史、信仰と芸術が交差するこの場所は、訪れる者を過去へと誘いながら、同時に未来を照らす灯台のようでもあるスタッフが教えてくれた「ここは記憶を保存する場所ではなく、記憶が呼吸を続ける場所です」という言葉が、空間の本質を静かに物語る。
創設者レック・ウィリヤパン氏は、急速に変わりゆく都市の中で精神性と美意識を守るため、この博物館を構想したのだという。
彼は「アートは祈りの形であり、記憶の容れ物である」と語り、タイの宗教・美術・歴史を未来へ継承するために、三層構造の宇宙観を建築として具現化。地下は過去、中央階は人間界、最上階は天界──訪れる者は階段を上るごとに、時間と精神の旅を体験することになる。

タイの人々は、古いものを保存するだけでなく、それを通じて社会に貢献するという美意識をも持つ。私的な記憶を公共空間に開き、文化を分かち合うという姿勢は、ビンテージ文化にも、博物館にも、街の営みにも共通している。
エラワン博物館は、過去・現在・未来をつなぐ“創造の空間”として、都市の喧騒の中に静かに佇みながら「何を受け取り、何を未来へ手渡すのか」と旅行者に問いかける。
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