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バンコク・トンブリ地区で“昔の街の空気”を伝えるレストラン「バンクーヤー」

バンコク・トンブリ地区で“昔の街の空気”を伝えるレストラン「バンクーヤー」

TRAVEL 2026.02 バンコク特集

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チャラン・サニットウォン26。バンコクの中心部から少し離れたこの通りは、急速に変化する都市の中で、いまも古い町並みが息づくトンブリ地区にある。高層ビルが立ち並ぶエリアとは対照的に、ここは人々の暮らしの匂いと、時間の積み重ねがそのまま残っているエリア。

その一角に、約90年前の家屋を改装して営まれるレストラン、「バンクーヤー」がある。路地から敷地に一歩入った瞬間に空気が一変する。オーナーによれば、傷んだ箇所は改修したものの、基本的な作りや窓枠、構造は90年前とほぼ同じにしているという。

オーナーによれば「バンコクはどんどん新しくなる。でもトンブリは、昔のままの姿が残っている数少ない場所」だという。しかしそれでも何度も開発の話が来ては断っているのだと、
「開発の話は何度も来ました。この家を売ってくれ、と。でも私は売らない。残したいんです」

「変わっていく街だからこそ、古い町並みを残さなければならない。ここがなくなったら、昔のバンコクを感じられる場所がまたひとつ消えてしまう」

“昔ながら”という言葉は、今のバンコクでどんな意味を持つと思うのか、聞いてみた。

「それは“記憶を開く鍵”だと思います。SNSや写真では伝わらない、リアルな空気を感じられる場所。若い人たちが“懐かしい”と感じるのは、実際にこの空間に身を置いた瞬間なんです」

店内には、かつて使われていた電気スイッチや、デッドストックを再生した照明がさりげなく配置されている。窓枠は90年前の家の特徴をそのまま残し、外から見ても当時の佇まいがわかる。

「訪れた人がどこに“時間”を感じるかは、それぞれ違うと思います。でも、この空間のどこかに必ず残っているんです」

―あなたにとって“ビンテージ”とは何ですか?

「古いだけではダメなんです。そこに“価値ある時間”が宿っているかどうか。それがビンテージだと思います」

それは料理も同じだという。「うちの料理は全部、おばあさんのレシピです。味を変える必要はない。時代が変わっても、変えないと決めていることがあるんです」

「今の時代に合わせているのは、衛生面など最低限のことくらい。それ以外は昔のまま。合わせようとはしません。合わない人は来なくていい。それくらいの気持ちでやっているんです」
改装の際、最も大変だったのは水害対策だったという。

「バンコクは水害が多いので、柱を高くして家全体を持ち上げたんです。これは大変でした。でも、そこまでしてでも、この風景を残したかったということです」

― 初めて来る人に“ここはどういう場所かと聞かれたら?

「昔のバンコクがまだ息をしている場所です、と言います。」
旅人にとって、この店が提供するのは、食事だけではない。
「ここに来れば、昔のバンコクを知らない人でも“これがかつての街の空気だったんだ”と感じられる。そんな場所でありたいんです」

変わりゆく都市の中で、変わらないものを守るという選択。
それは頑固さではなく、未来への贈り物。

「理由?それは、この風景を未来の人に手渡したいからです。」
ここは過去を伝え、未来へと手渡すための空間でもあるのだ。

取材・文 山下マヌー 
撮影 秋田大輔

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