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薬草王国 富山の新名所 ハーブとサウナでヘルシー生活

薬草王国 富山の新名所 ハーブとサウナでヘルシー生活

TRAVEL 2024.11  富山特集

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薬草の国 富山ハーブとヘルシーに生きる

「越中富山の薬売り」と称される富山は、江戸時代から売薬の名産地として栄え、現在も日本トップの生産額を誇る。富山の農業は、恵まれた気候と豊富な水資源に支えられ、米を中心に野菜や果樹が栽培されるが、昭和から平成にかけて薬用植物の振興にも県を挙げて力を注いできた歴史がある。

立山連峰を望む水田の中に、新たな歴史を刻む「ヘルジアン・ウッド」が誕生した。ハーブガーデン、蒸留所、販売所、レストラン、アロマスパ、ハーブロウリュのサウナ、ホテル、イベント広場など、多彩な施設を併設したハーブの楽園である。各建物は、水田の中に住居が点在する富山独特の集落「散居村」を彷彿とさせるデザインで、小さな村のような趣を持つ。

立ち上げたのは製薬会社、前田薬品工業である。三代目社長の前田大介氏は「新しい村づくり、人づくり」を掲げ、日々進化を追求する。なぜ、1958年に創業し、現在はジェネリック医薬品の外用剤で国内トップを誇る企業が、「薬に頼らない」ハーブに目を向けたのか。それは、前田氏が実際に体験したハーブの力が背景にある。

2013年、同社は経営危機に直面し、前田氏自身も体調を崩した。その際、あらゆる治療法を試みる中で、唯一彼を救ったのがハーブであった。この体験を経て、薬の起源であるハーブを通じた「未病」「予防医学」「幸せ人口」、そして過疎化が進む地元の自然を人々に伝えたいという思いが芽生えた。製薬会社の視点からハーブ栽培やアロマオイルの抽出に取り組み、地元住民と旅人をつなぐ場所として、富山を象徴する存在となっている。息を吹き返した小さな村は年間を通し辺り一面の色を変え、とても美しい。

「The Garden」。季節により、ラベンダー、ローズマリー、レモングラス、ハッカなどの和ハーブを栽培。

人の手で丁寧に栽培され、隣接するアロマ工房での精油やレストランの料理にも使用される。

アロマ工房「The Workshop」。蒸留器が設置され、ハーブやアロマの専門知識を持つスタッフによるワークショップも開催される。オリジナルブランド「Taroma」も人気。

それぞれの棟が散居村のように敷地内に点々と建つ。こちらはレストラン「The Table」。
1日1組限定の一棟貸しサウナホテル「The Hive」。日帰り利用もあり。2種類のサウナ室はハーブウォーターのロウリュも楽しめ、水風呂は天然掛け流し!

ヘルジアン・ウッド

富山県中新川郡立山町日中上野57-1

https://healthian-wood.jp/

各施設の詳細につきましてはHPまたは、各Facebook、Instagramページをご確認ください。

田園に浮かぶ個室で本物のFarm to Tableを

田んぼ以外何もないという贅沢。視界いっぱいに眩(まばゆ)い稲穂が飛び込んでくる。唯一無二の空間で、運ばれてくる料理にドキドキする。使うのは富山の食材。熊野シェフは、各生産者の元に足を運び、見て、話を聞く。

「富山名物の食材は新鮮でおいしいぶん、手を加えずに食べたほうがいいと思うんです。私が伝えたいのは”The富山の食材”でないものにも、おいしいものがたくさんあるということ。このレストランで生まれて初めての料理を体験できる、と世界中の人が足を運んでくれたら嬉しいです」。

「富山のよもぎ餅」。揚げた餅にマスカルポーネ、とんぶりをのせ、摘みたてのトロロアオイの花を添えて。 食用花でオクラのような味わい。

「赤パプリカのマリネ」。自家製のリコッタチーズ、ビーツの酢漬け、赤玉ねぎ、アマランサスに、ここで育ったレモンタイムを。

熊野泰博

富山県滑川市出身。東京、フランスのブルゴーニュ、ブルターニュの星付きレストランで修業。東京、sioのシェフを務め2022年2月にヘルジアン・ウッドのシェフに就任。郷土富山の素材を中心に、時には世界中の食材、技法を取り入れ、表現する。

The Table

ヘルジアン・ウッド敷地内

【予約】 Table Checkよりオンライン予約

076-482-2536

info@healthian-wood.jp

※受付時間10:00~18:00

撮影 yOU(河﨑夕子)、加藤光
文・編集 中野桜子

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