料理人と農業者もタッグで〝地産地食〟〜〝未来〟を紡ぐ徳島1
地域で育てた食材を、その地域で食べることを表す「地産地食」を合言葉に、神山町の農業と食文化を次世代につなぐために活動するフードハブ・プロジェクト。もとは、農業者の高齢化および後継者不足による耕作放棄地の増加と、それに伴って深刻化した鳥獣による農作物被害の問題を解決すべく、2015年に地方創生のワーキンググループが発足したことから始まり、翌年にスタートしました。
「農業の担い手の育成を軸として、神山町の農業とともに景観を守っていくことをひとつの目的としています。そのために、地域の食材をふんだんに使った料理を提供する食堂『かま屋』とパンや野菜など食品を扱う『かまパン&ストア』を運営し、加工品の開発と販売も行っています。
日本一、地産地食な給食を目指す
同時に食育にも力を入れていて、2022年にはNPOを立ち上げ、町内の小中学校で農業体験・食育・給食をつなげるプログラム『学校食』を進めていたりも。4月に開校した『神山まるごと高専』の寮の食事も私たちが担当しています」と、共同代表取締役・支配人である真鍋太一さん。聞けば、その高専では〝日本一、地産地食な給食〞を目指すといいます。
実際に「かま屋」では現在、地産地食率は6〜7割という驚きの数値をキープ。農業者と料理人がうまく連携しているからこそ実現できる仕組みといえます。
春は、しだれ桜の名所でもある神山町内で花見を楽しんだあとに、夏はキャンプと温泉を楽しんだ帰りに立ち寄れば、街の人々が誇る〝地域の食〞を味わえます。おみやげにパンを買って帰ることも、お忘れなく。
農業、加工、パン、学校給食など総勢 20 名以上の多様なメンバーがフードハブ・プロジェクトの取り組みを支えています。下段向かって右が真鍋さん。
この週のランチ(1,850 円)は、にんじんと春菊のサラダ、紅芯大根のスープ、ケールのチップス、天然鯛のポワレ、コリアンダーご飯。メリハリの効いた調理法には、シンプルでいて料理長の創意工夫が満ちています。新鮮な野菜をはじめ、地元産の食材も満載。
「かま屋」の店内中央には、全体を見渡せるオープンキッチンが。テキパキと作業を進めるスタッフの姿も印象的。
「かまパン&ストア」の店内。パン以外にも自社農園で育てた野菜のほか、地域で作られた調味料やお酒などが並びます。自家培養の天然酵母を使った、もっちり食感の食パンが一番人気。
かま屋/かまパン&ストア
徳島県名西郡神山町神領字北 190-1
TEL 050-2024-2211 / 088-676-1077
http://foodhub.co.jp
撮影:鈴木大樹
取材&文:吉田けい
編集:小嶋美樹