首里城の赤瓦はなぜ息を吹き返すのか? 職人と土が伝え続ける沖縄の静かな強さ
工芸、食、芸能、祭事……独自の文化が育まれ継承されている沖縄。
豊かな海=「美ら海」に囲まれた沖縄には、同時に豊かな土壌も広がっていて、やちむん、赤瓦、泡盛、野菜など、その土が育んできた文化や産物は魅力に溢れている。
「沖縄のテロワールは、自分で探さなければ見つからない」(小島圭史シェフ)。沖縄の風土と真摯に向き合い、時には折り合いをつけながらそれを知恵として寄り添う人々の現場を訪ねて辿り着いた、未来につながるテロワールとは。
【琉球瓦と土】黒い粘土は乾燥すると白くなり焼き上げると赤くなる
沖縄本島南部に位置する島尻郡与那原町は、赤瓦の原料となるクチャ(島尻層泥岩)の産地であり、赤瓦生産の中心地として知られる。クチャに赤土(島尻マージ)を混ぜることで1000度を超える高温での焼成が可能になり、耐久性も高くなるそうだ。
与那原で75年にわたり赤瓦を製造している八幡瓦工場では、機械製造と併せて代表の八幡昇さんが伝統製法による製造も行い、国の選定保存技術に指定された製法で作られる手作りの赤瓦は、主に文化財の修復に使われている。
赤瓦には吸水性があり、雨が降った後には水分を蒸発させて室内の温度を下げることから“呼吸する瓦”と表現されることも。漆喰でしっかり固定された瓦屋根は強風にも負けず、耐久性も高い。沖縄の風土が育んだ赤瓦は今でも人々の生活に寄り添い、沖縄の風景に欠かせない存在である。
【上】八幡瓦工場 代表取締役 八幡 昇(はちまん・のぼる)さん
令和6年、国の文化審議会より選定保存技術「屋根瓦製作(琉球瓦)」保持者に認定される。
2019年10月31日に発生した火災で消失した首里城の正殿の復元に使用される軒丸瓦。瓦当文様は牡丹を正面から描いたデザインに変更された。

手作業の琉球瓦(丸瓦)製作工程

【上】粘土板を瓦箱(かーらばく)と呼ばれる木製の円筒形の型に巻き付けて成型する(平瓦は扇状の粘土板と桶のような模骨(もこつ)を使用)。

【上】乾燥後に2等分に割る(平瓦は4等分)。約1000度で焼き上げる。
【上】焼き上がった丸瓦を手にした八幡さん。後ろの棚には焼き上がった丸瓦(こちらは機械製造)が並ぶ。
八幡(はちまん)瓦工場
沖縄県与那原(よなばる)町字上与那原291-1
1950年創業。沖縄で唯一伝統的な赤瓦の製造技術を保持する工場。赤瓦の製造販売、屋根葺き工事等、現代建築から文化財の修復まで手掛ける。
撮影 大湾朝太郎
取材・文 齊藤素子
編集 川原田朝雄
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