泡盛が地元で愛され続けるために やんばる・大宜味村で米も麹もこだわる酒造り
工芸、食、芸能、祭事……独自の文化が育まれ継承されている沖縄。
豊かな海=「美ら海」に囲まれた沖縄には、同時に豊かな土壌も広がっていて、やちむん、赤瓦、泡盛、野菜など、その土が育んできた文化や産物は魅力に溢れている。
「沖縄のテロワールは、自分で探さなければ見つからない」(小島圭史シェフ)。
沖縄の風土と真摯に向き合い、時には折り合いをつけながらそれを知恵として寄り添う人々の現場を訪ねて辿り着いた、未来につながるテロワールとは。
泡盛と土 米も麹も県産にこだわりながらずっとこの土地にあり続けたい
やんばる酒造の創業は1950年、大宜味村田嘉里地区で住民が出資して集落の人たちが飲むための泡盛を造る酒造として始まった。社長の池原文子さんは、何よりも地元で愛され続ける酒であること、そしてその酒を目当てに多くの人がやんばるを訪れてくれることを目指す。
大小47の泡盛製造所がある沖縄では、沖縄の土で育った県産米を使って地域性を高め、泡盛の新たな価値を創造しようという「琉球泡盛テロワールプロジェクト」が2019年から官民一体となり進められている。
地域に根ざす泡盛造りを目指すやんばる酒造では、新たに県産の米を使う3種の泡盛を発売した。伊平屋島産米は米の豊かな風味と甘みを引き出すミドルカット製法を採用、伊是名島産米はフレッシュでドライな口当たりに仕上げるために3回蒸留を重ね、やんばるの国頭村産米は米の風味を存分に活かすため無加水で仕上げた。個性豊かで飲み比べも楽しめる泡盛だ。
生産量が極めて少ない国頭村産の米は、仕込みから仕上げまですべて手作業、試行錯誤を繰り返す少数多品種での酒造りは苦労も多いが小さな酒造だからできる強みなのだと。そして、変えたくないものがあるからこそ、変えなくてはいけないこともあると池原さんは語る。やんばるの酒を守るための挑戦だ。
【上】農薬不使用、化学肥料不使用で栽培した国頭村産のひとめぼれ。



やんばる酒造
沖縄県国頭郡大宜味村田嘉里(くにがみぐんおおぎみそんたかざと)417
沖縄本島北部地域、酒造のある大宜味村と、国頭村(くにがみそん)、東村(ひがしそん)、3村にまたがる脊梁山(せきりょうざん)地帯は2021年7月、ユネスコの世界自然遺産に登録された自然豊かなエリア。

麹に、酒造近くの山から汲み上げた水(中硬水)と酵母を加えてもろみを作るもろみ室。撹拌(かくはん)は手作りの櫂棒(かいぼう)を使い手作業で行う。1カ月くらいで蒸留の工程へ。

大宜味村出身。大学で醸造学を学び、海外留学を経て2013年に家業へ。4人の子どもの母親。
撮影 大湾朝太郎
取材・文 齊藤素子
編集 川原田朝雄
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