岡山の備前焼 美濃の技法と融合させる陶芸家の挑戦

赤伝統の色を守るために 柔軟で実直な生活を追求
赤みを帯びた茶褐色の地肌が特徴的な備前焼も、ここ岡山で出合える昔ながらの色彩を持つ。陶芸家の森本仁(ひとし)さんは、備前焼作家を父に持つ生粋の備前育ち。だが、大学を卒業してから岐阜県美濃(みの)市での4年間の修業期間を挟んで、この地に戻ってきた。今、彼の作品には、釉薬(ゆうやく)を使わず高温で焼き上げるオーセンティックな赤い備前焼に加え、美濃で学んだ技術や知識を活かした色とりどりの器が顔を揃える。

「自分がこれまで学んできたことを活かし、形式にとらわれずに作陶しています。さまざまな技術や方法、色合いを試す過程の中で、備前焼の持つ新たな可能性に気づかされることも多々。多様なニーズに向け、使う人の生活になじむ器をつくりつづけたい」

日々の生活の営みから創作のインスピレーションを得ているという森本さん。料理や庭づくりはもちろん、陶器と親和性の高い茶道や華道を嗜(たしな)み、“ 使って美しい器” の姿を探求している。



備前の土を使いながら、登り窯ではなく灯油窯で白くなめらかな質感に焼成したシリーズも人気。現代のライフスタイルと調和する作風から、海外での展示に招聘(しょうへい)されることも少なくない。
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