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倉敷美観地区の白壁 市民の手で守る白亜の風景と歴史

倉敷美観地区の白壁 市民の手で守る白亜の風景と歴史

TRAVEL 2025.04 岡山特集

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白漆喰の壁に平瓦(ひらがわら)を並べ、継ぎ目へ漆喰を盛り上げるように塗った「なまこ壁」も倉敷でよく見られる特徴的な工法だ。元来は壁を守るためのものだが、意匠としての美しさも精彩を放つ。

町並み保存を支えた市民の情熱

岡山を代表する観光地である倉敷を支える、白壁で彩られた美観地区の美しい町並み。昨今では海外からの来訪者も多いこのエリアの“白”がどのように生まれ守られてきたのか、倉敷市文化財保護課の藤原憲芳(のりよし)さんに聞いた。

「この辺りは江戸時代に町家や蔵が多く建てられました。当時の建物は防火のために貝殻を混ぜた白い漆喰が塗られたことから、この色合いに」

その風景がこれほど良好な状態で遺されてきた理由として注目すべきは、町並み保全の動きが行政でなく民間から興(おこ)ったという点だ。

「こうした類(たぐい)の保存運動は通常、高度経済成長期に行政からお達しが出た結果であることがほとんどです。しかし倉敷の場合は戦後間もない時期という早い段階で、地主の大原家を筆頭に始まったのがユニーク。運よく大戦の空襲に遭わなかっただけでなく、そこから意志を持ち行動したからこそ、今の風景があるのです」

現在の町づくりにもその動きが活かされていると、観光課の牧野浩樹さん。

「防災や地域活性化に住民団体が参画するほか、古民家再生プロジェクトでは町の人たちが自ら候補者を面接。この自治性の高さを次の世代へつなぐ活動にも力を入れています」

倉敷に住む人々にとってこの白壁の色は、ふるさとの風景であり、誇りでもある。そのバトンを後世へ渡すため、これからの町づくりを担う若者たちを視野に入れた施策や催しが多数。

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