寂聴さん好みの極上の「日常づかい」は?〜寂聴さんと歩く京都vol.3
有髪時代も、晩年の先生も
とてもセンスが良くておしゃれ。
職人さんが丁寧に作ったものが好きでした。(瀬尾まなほ)
御倉屋(和菓子)
洛北の、家族経営の和菓子店。店名は堂本印象の揮毫。数寄屋建築の中村外二氏の手になる店内にはショーウィンドウは設けず、器に盛り付けられた代表的な菓子が美しいたたずまいで並ぶ。多くの文人、墨客の支持を集めてきた御倉屋のお菓子は、華美ではないが心のこもった美味しさが人をひきつけてやまない。「黒糖 旅奴」は、看板商品でもあり寂聴さんの長年の大好物。波照間島の黒糖をふんだんにまぶしたボーロは、さっくりとどこにもない食感で人を虜にする。ほかに「夕ばえ」や「美久良かん」なども人気。
御倉屋(和菓子)
小野珠数店(珠数)
「店で作業するので、お客さんの好みやサイズに合わせてぴったりの珠数を作れるのが強みです」(店主の小野孝一さん)。下の水晶の珠数は、寂聴さんが愛用していたものと同じ(価格は2万円台~)。天台宗独特の平玉で丸い梵天房。男性エグゼクティブに最近人気なのは、宗派共通で高級感ある 25 珠の略式珠数。素材は青虎眼石など(価格は8千円台~)。宝暦年間から270年にわたり各宗派の珠数を商っている。珠数はふだんから身に着けたりバッグなどに入れておくと魔除けにもなると言われ、仏事以外の日常に持つ人も増えている。寺町通のアーケード街という便利な立地と良心的な価格、親切な対応に、他県からのお客さまも多い。糸替えなどの相談にも応じてくれる。
小野珠数店(珠数)
﹅や(ちょぼや 履物)
花見小路にたたずむ小体な店。硝子の引き戸を開けると、三代目ご主人の櫻井功一さんが迎えてくれる。見るからにすらりとした草履は、履いた姿だけでなく、脱いだ時にも美しい。寂聴さん好みは、歩きやすくシルエットがきれいな一段の草履、色は白と決めていた。創業は1954年。櫻井さんの祖父にあたる初代は、東京・赤坂に生まれ、京都の『美濃忠』で修業、そこのお嬢さんと駆け落ち同然に独立したそう。草履の他には、舞妓さんのおこぼや、すっきりと美形の下駄も看板商品。花緒の「挿げ」は、ひとりひとりに合わせるまさにオーダーメイド、職人の経験と勘が生きている世界。ぜひ足袋持参でじっくり自分だけの一足を選びたい。
﹅や(ちょぼや 履物)
TEL 075-561-5584
京都市東山区花見小路四条上ル富永町 116-3
https://choboya.wixsite.com/gion-choboya
日曜休み
12:00~19:00
075-561-5584
京阪祇園四条駅から徒歩4分
宝泉 京都駅店
「東京出張の行き帰りに、先生が立ち寄っていたのがこちらのお店です」(瀬尾さん)。寂聴さんのお目当ては「しぼり豆 丹波黒大寿」。大粒の丹波黒大豆をゆっくりと炊き上げた身体に優しいお菓子。お菓子に用いる黒大豆や丹波大納言小豆は、毎年店主自ら産地へ出向き、最高級のものを厳選。京都駅店は下鴨にある「茶寮宝泉」で毎朝作っている生菓子や手淹れのコーヒーなどでしばし安らげる人気のスペース。写真の「しぼり豆丹波黒大寿」小袋10袋入り籠は、¥2,540。個数や包装にはいろいろバリエーションがあり、選ぶのが楽しい。賞味期限が 45 日間あるので、お土産としても最適。
宝泉 京都駅店
TEL 075-693-9103
京都市下京区東塩小路高倉町 8-3
JR 京都駅 新幹線構内2階
年中無休
物販10:00~19:00
喫茶10:00~18:00(L.O.17:45)
JR京都駅新幹線八条口より2階に上がって左手すぐ