幻想的な紅葉の名所「環境芸術の森」~唐津「土の恵み」を守り継ぐ-4
唐津市内から車で約30分。作礼山(さくれいざん)の中腹に広がる「環境芸術の森」は、造園業を営む環境芸術家の鶴田正明さんが40年以上をかけて整備してきた約10ヘクタールの広大な森だ。森に手を加えるといっても、人工的に作り変えるのではなく、昔からそこにある木々や土、川を活かし、自然本来の姿を蘇らせることに心血が注がれた。自然の偉大さに畏敬の念を抱き、少しずつ植樹された1万本以上の木々が作り出す森の風景は圧巻だ。
土を踏みしめながら散策する心地よさ
澄んだ空気と静寂に包まれながら散策路を歩けば、高さ8メートルにもなる大もみじや清流が出迎えてくれる。散策を終える頃には、心身がすっと軽くなるような心地よさを感じるだろう。
敷地内にある、築140年以上にもなる建物を移築した「風遊山荘(ふうゆうさんそう)」も必見だ。木を組み格子状に仕上げた「折上格天井(おりあげごうてんじょう)」を有する建物だけでなく、漆塗りのテーブルに窓外の緑がリフレクションする幻想的な景色も人気となっている。
唐津の豊かな食と文化は、すべてに通じる「土」が生み出した自然からの恵みに他ならない。唐津には、土の恵みに感謝し、守り継いでゆく人々の姿があった。
春夏秋冬、それぞれに違った表情を見せてくれる森の日々。なかでも圧巻なのが木々が真っ赤に染まる秋の紅葉の時季で、見頃を迎える11月には多くの観光客が訪れる。散策路には1周が徒歩で約15分のショートコースと、30分のロングコースがあり、美しい里山散策が可能。4~6月の新緑シーズンと秋の紅葉シーズン以外は不定休となっているので、訪れる際にはご注意を。
環境芸術の森
佐賀県唐津市厳木町平之667
TEL:0955-63-2433
https://morisaga.com/
撮影:yOU
取材&文:小嶋美樹