竹と港と絶景――別格の原風景が広がる竹島~離島で感じる「地球の鼓動」vol.2
その名の通り、島の8割が大名竹に覆われる竹島。竹ともに暮らすこの島の特産は、大名筍(だいみょうたけのこ)だ。竹島にUターンし、大名筍などの販路開拓や島の情報発信に取り組む、「NPO法人みしまですよ」代表の山﨑晋作さんは、「大名筍は島の誇りです」と胸を張る。
一年に1か月しか収穫できない島の「誇り」
5月頃から収穫される大名筍は、一年のうちでわずか1か月しか採ることができない。根元を切ると、水があふれ出るほどの瑞々しさ。柔らかく風味にすぐれ、トウモロコシのような甘さが広がる。
「人口減少が進む竹島では働き手の中心が60代以上です。私たち若手が島を盛り上げ、大名筍を全国区にしたい」(山﨑さん)
収穫する人手が足りず、出荷量も限られる大名筍は、ほぼ流通しない幻の筍だ。大名筍に加え「籠港(こもりこう)」や「オンボ崎」など、竹島には知られていない魅力がたくさんある。「籠港」は、時化(しけ)の際の避難港として利用されていた。桟橋があるため、映画『紅の豚』の主人公・ポルコの隠れ家に瓜二つと言われる。両側から伸びつながり、トンネルのようになっている「ガジュマルの門」も竹島の名所の一つだ。
どこまでも広がる竹林の緑が、竹島の風景だ。島の東端に位置する海岸線の露頭には、「赤壁」と呼ばれる噴火の痕跡が残る。島には、地球の記憶が刻まれている。
「竹のように、伸びしろがある島だと思っています」、そう力強く話す山﨑さんの笑顔を見て、全国区になる日は遠くないと確信した。
撮影:久保田光一
取材&文:我妻弘崇
編集:高田真莉絵