外宮で1500年続く日々の祭儀は生命をつなぐ営み 伊勢神宮-3
外宮で朝夕2回 水を汲み火をおこす
外宮(げくう)の参道を歩いていると、運よく祭儀に遭遇できることがあります。ここでは1日2回、行われる祭儀があるからです。
外宮に祀られている豊受大御神(とようけのおおみかみ)は天照大御神(あまてらすおおみかみ)の食事を司る御饌都神(みけつかみ)。外宮では神様に食事を差し上げ、祈りと感謝を捧げます。それが日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)です。1500年もの間、雨の日も風の日も続けられてきました。
食事の準備も時代に合わせて簡素化することはありません。水は毎朝、外宮の森の奥にある上御井(かみのみいの)神社の井戸で神職が長い柄杓で汲み上げ、御飯を蒸すための火は、忌火屋殿(いみびやでん)で木と木を摩擦させておこします。これは弥生時代と同じ方法です。そうやって調えられた食事は神職が、神様が食事をとられる御饌殿(みけでん)へ運びます。神職が参道を横切るときに遭遇することもあります。
伊勢神宮でもっとも大きな祭儀は、20年に一度、神殿を造り替えて神々を遷す式年遷宮です。木造の社殿がつねに若々しい姿を保つのは定期的に造り替えているから。これが常若(とこわか)の思想です。ギリシャの神殿は、永遠を求め堅牢な石で造りましたが、今では廃墟になっているのと対照的です。
次の式年遷宮は、2033年の予定。それに向けて2025年から9年間におよそ30もの祭儀と行事が続きます。
豊受⼤神宮
写真 宮澤正明
編集・文 今泉愛子