白樺の「命の水」でビールを作る 北海道を知る-3
美深クラフトビールの根っことなるのは、土地の風土や農作物、そして循環だ。
麦芽カスを肥料として羊たちの餌へ
ビール造りで出る搾りかす。捨てるくらいなら、羊の肥料として使えばいいというシンプルな道理。「600リットルのタンクでビールを作るときは、200kgくらいのカスが出るんです。水分を含んでいるので乾物にすると減量しますけど。そしてその肥料で育った羊の肉がブルワリーで食事として提供されています。ぐるぐる回っている感じです」と、松山農場の柳生さん。
農家の南さんが作る様々なホップで試作を
クラフトビールで最も重要と言えるホップ。「花弁ではなく中の花粉がビールの香り付けに。最初は家庭菜園で始め、植えてみたらどんどん芽が出て来たのでパイプを立ててみたら育ちました」と南さん。「南さんのお父さんは小麦を作ってらっしゃるので、小麦とホップ両方使ったWheat aleというビールも毎年作っています。その土地にできたもので作ってみることが魅力だと思うので」(白樺ブルワリー・高橋さん)
白樺から採れる「白樺エキス」が副原料
松山農場の柳生さんは羊だけでなく白樺に魅せられ、白樺エキスを抽出してきた。早春、白樺の幹に穴を開け採取する白樺エキスは、そのままでも飲めるほどほんのり甘くミネラルが豊富。抽出できるのは1ヶ月だけと貴重な存在であり、「命の水」とも呼ばれる。美深白樺ブルワリーのクラフトビール全てに、この白樺エキスが副原料として加えられている。
美深白樺ブルワリー
北海道中川郡美深町大通北4丁目9番地
TEL:01656-8-7123
https://www.bifukashirakaba-brewery.site/
取材、編集/柿本真希(Lita)撮影/鈴木大樹