神秘のマジックアワー…見渡す限りの湖の結氷を独り占め~北海道 雪サウナの贅沢4
見渡す限りの 湖の結氷を ひとり占め
古代から、人々は夕焼けのあの儚い時間に思いをはせる。ここサロマ湖は「夕日の名所」といわれ、マジックアワーの神秘的な様は言葉にならない。湖畔に佇む「サロマ湖 鶴雅リゾート」は、何もない潔さ、何もしない時間こそ最高の贅沢と謳う。あるのは一面が結氷化した湖とどこまでも続く水平線だけ。客室の部屋のドアを開けると、壁一面のガラス張りに絶景が広がり、眩しいほどに湖の白さと大きな太陽が照らす。そこはもう別世界にすら感じる。普段なら、落ち着かない、恥ずかしいと思うほどの全面ガラス。でも、向こうは広大な湖のみ。遠く遠くの氷る湖まで見通せ、当たり前だが誰もいない。開放感がいっきにくる。私は砂漠を旅したときのことを思い出した。何もない贅沢、これは自然にしか再現できない。この宿は、部屋、レストラン、温泉、どこにいても湖が一望できる。
編集者の携帯で部屋から撮影した景色。
見渡す限りの 湖の結氷を ひとり占め
我々の旅の目的、大浴場へ。ここは露天風呂が絶景。サロマ湖に向かって温浴できる。温度も景色も心地がよく、いつまでも入っていられる。温泉は濃く、体が芯から温まる。サロマ湖周辺は、開発の手が入らずあるがままの自然が保全されている国定公園エリアだといわれる。サウナはクラシックなドライサウナ。完成度の高い安定したサウナで、しっかり汗をかける。笹野さんにサウナについて尋ねると「日本のクラシックなサウナですが、水風呂が冷たくサウナ好きの方にはたまらないと思います。導線が行き来しやすいので、自分のペースでしっかり温まれますね。そしてサウナ後のグルメが本当に至高!」。サロマ湖名物の肉厚なホタテを贅沢にもたらふく食べられるということで、楽しみにしていた夕食へ。
地のものを使ったフレンチのフルコース! 全席が、サロマ湖に向かって食事できる仕様で、マジックアワーにぜひ居合わせたい。春夏秋冬、どのマジックアワーもすばらしいものだと、料理長は言う。料理は、まず出てくるのがスペシャリテの豪快なシーフードプラター。これはすごいとしか言いようがない、プリプリの生牡蠣、箱ウニ、そして大きなホタテ!これだけで、北海道に来た幸せを噛み締めさせてくれる。次々と運ばれてくるフレンチは、北海道産の肉、野菜をたっぷりと使ったものだけで構成され、ボリュームも満点。時間の流れを景色とともに感じながら、おいしいフレンチを食べられる……ただただのんびり過ごしたいたびにはもってこいだ。
レストランはフレンチ以外にも、気軽なバイキングも選べる。しかし、侮(あなど)っていると拍子抜けするのがこの地のバイキング。注文しておくとテーブルにまず運ばれるのが、ここでもシーフード盛り合わせ! 牡蠣、ホタテ、生エビ、赤貝などが溢れんばかりに盛られ、まるで宝石箱! これはおいしい。ホタテが甘い、肉厚、弾力満点。ビュッフェコーナーも海鮮づくし。人生最高のホタテをお腹いっぱい食べた。撮影スタッフでサロマ湖の美食とともに交わしたワインは忘れ難い。大人数で楽しむビュッフェも、ここはまたいい。
朝食も、朝から新鮮なお刺身が並ぶ海鮮パラダイスのビュッフェ。もちろん洋食も力を入れており、北海道は小麦の生産も盛んなのでパンも美味。朝サウナのあとの牛乳はおかわりするおいしさだった。
笹野美紀恵
ささのみきえ。実家はサウナの聖地といわれる「サウナしきじ」。しきじの娘として、サウナ、温浴施設などの総合プロデュー ス・PRを手掛ける。サウナは“単なる熱い箱”ではなく心と体をリトリートするものであるとし、新しい入り方を伝えている。近年では施設のプロデュースのみならず、病院と連携した新しいウェルネスのプロデュースも行う。
Instagram @mikie_sasano
Twitter @MikieSasano
サロマ湖 鶴雅リゾート
案内人 / 笹野美紀恵
撮影/yOU(河﨑夕子)
コーディネーター/太田泰斗
取材・文・編集/中野桜子