キツネに遭遇…道民 雪サウナの聖地・白銀荘へ~北海道 雪サウナの贅沢2
北の聖地で雪ダイブ! 本場フィンランドサウナを知る
俗にいう〝サウナー〞から「北の聖地」と呼ばれるサウナがある。十勝岳中腹の大自然に囲まれた温泉宿「白銀荘」だ。町営の100%天然温泉の浴場は、歴史を感じさせる佇(たたず)まいでありながら本場フィンランド式の極上サウナを持つ。充分に熱くなったところで外へ飛び出し、スノーダイブ!これが名物(十勝岳の湧水を使用した水風呂も言わずもがなすばらしい)。施設でありながら、自然の雪と触れ合えるうえ、フィンランド式を導入しているから貴重なわけである。
そもそも、フィンランド式サウナとは何か。まず、「Sauna」はもともとフィンランド語。日本の高温低湿な従来のドライサウナと比べ、温度が低く高湿なのが特徴である。高温に熱したサウナストーンに水やアロマ水をかけ、蒸気を発生させて湿度と温度を上げる。この蒸気を「ロウリュ」という。ジュワ〜ッという音とともに立ち込める蒸気は、サウナーにとってたまらない。その気持ちの良さを脳が記憶しているのだと思う。湿度が高い分、髪や肌への乾燥によるダメージを軽減できるのも嬉しい点。諸説あるが、フィンランドのサウナが国際的に注目されたのは1936年のベルリンオリンピック、日本では1964年の東京オリンピックのときだといわれている。選手村にフィンランドチームがサウナを持ち込んだのを見て、他国の選手が自国に持ち帰り、多くの国々でサウナがとり入れられるようになった。日本では、それから長年ロウリュなしのサウナが主流だったととれるわけだ。見よう見まねだったからなのか、あえてなのかは定かではない。
寒いフィンランドでは、一般家庭にもサウナがあり、街中いたるところに公衆サウナがある。それほど日常であり、日本でいう昔の「銭湯」の感覚だろうか。そう考えると、北海道も理にかなっている。外気浴が冷たいほど、サウナ室との温度差が激しく気持ちがいいとされ、その意味では、北海道は日本一優れた環境といえるのだ。中でもここ白銀荘は、気軽に立ち寄れる場所でないが、わざわざ行きたいほどのサウナなのである。
セルフでロウリュする。温度と湿度が上がり心地よい汗を促す。十勝岳の雄大な景観を望む外気浴はもちろん、露天風呂も格別。温泉で温まって外気浴するのも最高である。
標高約1000mの立地へ。道中、不思議と走行中の我らの車に駆け寄ってきたキツネに見つめられ、その眼差しと美しい佇まいにしばし息をのんだ。冬は雪化粧の木の風情が見れるのもこのエリアならでは。
吹上温泉保養センター 白銀荘
サウナのあとのお楽しみ「サ飯」は、富良野市にある「唯我独尊」のスパイスカレーに。さらに体が温まり、好みで辛さを調節して増すと、汗が出るほど。自家製ソーセージやベーコンがまた絶品で、これをのせたオムカレーが人気メニュー。カレードリアもチーズたっぷりでこれまたおいしい!
富良野の自然を味わうカレー屋
唯我独尊
撮影/yOU(河﨑夕子)
コーディネーター/太田泰斗
取材・文・編集/中野桜子