秋田・白神山地で地元産赤ワインとブランドサーモンに酔いしれる
化粧品会社が造り、町が販売する赤ワイン
藤里駒ヶ岳の麓、粕毛川や水田を望む高台にあるのが高級化粧品メーカー、アルビオンの白神研究所だ。化粧品作りに欠かせない名水を求め行きついたこの地で、2010年から化粧品の原料となるハーブなどの植物を栽培・研究している。「当社は化粧品の原料としてぶどう栽培を行っていたのですが、発酵技術研究のためにワイナリーを新設。2021年からは栽培からワイン醸造までを所内で行っています」と研究所所長の小平努さん。
1998年、地域活性化の一環としてぶどう栽培が始まったことで誕生した白神山地ワインだったが、長年、醸造は別の地域で行われていた。「栽培から醸造まですべてを藤里町内で担う夢を叶えてくれたのがアルビオンさんでした」と藤里町商工観光課の佐々木吉昭さん。官民がタッグを組み造る赤ワインは、秋田の発酵食に合う一杯として、この地を訪れる人々の舌を楽しませている。

白神山地ワインの原料となるぶどう「ヤマ・ソービニオン」を研究所内で栽培。普段は見学不可だが、昨年秋には収穫体験イベントが開催された。



アルビオン白神研究所
藤里町商工観光課
https://www.town.fujisato.akita.jp
※白神山地ワインは藤里町内の酒販店、ホテル、「白神山地 森のえき」などで購入可能。上記ウェブサイトでは購入不可。
若手漁師の希望をのせた養殖サーモン
秋田県の県魚で、冬の特産品として名高いハタハタ。しかしここ数年、漁獲高の大幅減少が深刻な問題になっている。「このままでは漁師たちが困窮するばかり」と、八峰町の若手漁師たちが集まり、岩館漁港でトラウトサーモンの養殖を始めたのが2021年。4季目の今年は、質も評判も過去一だ。
「輝(かがやき)サーモン」と名づけられたサーモンは、青森県で育った稚魚を買い取り、毎年冬に八峰町の海上に造られたいけすに放流。4~5月に水揚げされると、その時期限定で地元スーパーや飲食店に出回る。「海水温が上がりすぎるとサーモンにはよくない。その点、白神山地からの雪解け水が流れ込むこの地での養殖は向いていたんです」と話すのは、事業を手がける「八水」代表の菊地陽一さん(写真1右端)。今後、地元の泊川(とまりがわ)水域に稚魚の養殖施設も完成する予定だ。八峰町の清らかな水で生まれ育ったサーモンが、地元漁業の希望の輝きとなる未来も近そうだ。

普段は各自の船で漁業をしている若手漁師たちが協力体制を組み新事業に着手するのは、全国的にも珍しい取り組みだ。

丸々太った輝サーモンは今や地元で人気のブランド魚。


どはち
秋田県能代市二ツ井町小繋字泉51 (道の駅ふたつい)
Instagram @syokudou_dohach
写真 秋倉康介
取材・文・編集 小嶋美樹
協力 三浦基英
<あきた白神への翼>
東京(羽田)からANA便で大館能代空港へ。藤里町へは車で約30分、八峰町へは約50分、三種町へは約50分、能代市街地へは約45分。※運航情報は変更になる可能性がございます。 最新の情報はANAウェブサイトをご確認ください。
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