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明石発ウイスキーに注目 地元酒蔵が手がける「時間の酒」の熟成物語

明石発ウイスキーに注目 地元酒蔵が手がける「時間の酒」の熟成物語

TRAVEL 2025.10 明石特集

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“時のまち”明石で始まった挑戦 時の流れを紡ぐウイスキー造り

大正7(1918)年創業、日本酒「明石鯛」で知られる明石酒類醸造は、縁のあったトルベイグ蒸溜所(スコットランド)のマスターブレンダーに誘われたウイスキー造りを2017年、本格的にスタートした。醸造(日本酒)と蒸溜(焼酎)の知識があれば簡単だと高を括っていたがまったくの別物。トルベイグ蒸溜所で修業し、基本を学んだ。「時間の酒」と言われるウイスキー、樽からの美味しさと液体自体の熟成のバランスを大切にしたいと米澤さんは考える。

4日間発酵させた発酵液をポットスチル(蒸溜器/銅製の釡)に入れて初溜と再溜の2 回、各約6時間の蒸溜を行う。蒸溜後の原酒の良質な部分のみを抽出するミドルカットという工程を経て樽に移して熟成が始まる。
併設のビジターセンターでは「明石鯛」、「波門崎」シリーズ、クラフトジン、明石土産などの販売のほか試飲も有料で楽しめる。定期的に海峡蒸溜所見学ツアー(有料)も行われている。明石酒類醸造&海峡蒸溜所ビジターセンター https://www.akashi-tai.com/jp/

「造られる場所の自然環境をすべておりなせてこそ完成するのがウイスキー。掛け算する要素はすごく多い」(米澤さん)

造りたいのは華やいだ繊細な香り、明石の穏やかな気候や潮風も感じてもらえるようなウイスキーだ。2027年、シングルモルトの発売に期待が高まる。

ブレンデッドウイスキーのシリーズ名、明石港の「旧波門崎灯籠堂」。現存する日本の旧灯台で2番目に古いとされる。

国道2号線沿いに建つ海峡蒸溜所。並行して山陽電車、JRの線路もあり鉄道ファンからの視線も熱い。

モルト麦芽に熱湯を加えて糖分を含んだ麦汁を抽出。濾過した麦汁を発酵槽に移し、酵母を加えて発酵工程へ。写真は1 日経った状態。4日間ほど発酵させアルコール度数7 ~ 8%に。発酵槽はステンレス5 基、木桶3 基が稼働。

右・代表取締役の米澤仁雄さん。会社が危機的状況に直面した際、全く面識のないロンドンの飲食店を「明石鯛」を持って一軒一軒訪ね、ロンドンと欧州に販路を広げた。左・樽はバーボン樽、シェリー樽、ミズナラ樽を使用。

ロンドンジンスタイルの3 種類のボタニカルと5 種類のジャパニーズボタニカルを合わせた「東経135度兵庫ドライジン」(¥2,530)。明石の海苔を使用した「海苔スピ」(¥1,100)。
ブレンデッドウイスキー“ 波門崎シリーズ” は海外の原酒のみを使用し、明石で後熟。「波門崎ピュアモルトウイスキー」(¥4,070)、12 年熟成のモルトウイスキーを梅酒樽で6 カ月後熟した「波門崎梅酒カスクフィニッシュウイスキー」(¥9,680)、12 年熟成のモルトウイスキーをキーモルトに3 年ものをブレンドした「波門崎ブレンデッドウイスキー」(¥2,530)。

<明石への翼>
東京(羽田)からANA便で神戸空港へ。
※運航情報は変更になる可能性がございます。 最新の情報はA N Aウェブサイトをご確認ください。

撮影 牧田健太郎
取材・文・編集 齊藤素子

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