海苔の生産量日本一 兵庫・明石の“浮き流し式”海苔養殖の秘密
速い潮流に揉まれて育つ肉厚で歯ごたえのある明石海苔
海苔も明石を代表する“まえもん”のひとつだ。「浮き流し式」という方法で養殖が行われている。網の周囲に浮きをつけ、流されないようアンカーで海底に固定し、網を海面に漂わせて育てる。この養殖方法によって、水深が深くて潮流が速い場所でも海苔養殖ができるようになり、瀬戸内海を中心に広まったそうだ。2022年度から兵庫県の海苔生産量は3年連続で日本一となっており、明石市はその4割を生産している。


1977年創業の「鍵庄」は、明石海峡の“一番摘み”の海苔だけを使用した商品づくりを行い、色艶や口溶けのよさ、芳醇な香りなど明石海苔の魅力を伝えている。また、アレルゲンのない味付け、約15ミクロンに粉砕した海苔を練り込んだ素麺や菓子の開発など、現代の生活に寄り添い海苔の可能性を広げている。

「浮き流し式」で養殖

「もぐり船」で摘採

肉厚で旨みの強い一番摘みの海苔。
明石海苔養殖の一年
●春~夏 海苔の種をつくる胞子が糸のようになった「糸状体(しじょうたい)」を牡蠣の殻に植え付けて培養。5カ月ほどで種が放出される。
●秋 育苗海水温が23度前後になる頃、種を定着させた海苔網を海に張り芽を育てる。海苔網を海上に出して海苔を乾燥させて海中に戻す「干出(かんしゅつ)」を毎朝、およそ3週間繰り返し一旦回収して冷凍保存。
●冬 本張り・摘採 → 加工海水温が18度前後になる11月末頃、海に「浮き流し式」で海苔網を張る(本張り)。10日~2週間で海苔が20 ~30cmに成長したら「もぐり船」で海苔を摘採。加工場へ。



株式会社鍵庄
撮影 牧田健太郎
取材・文・編集 齊藤素子
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