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海苔の生産量日本一 兵庫・明石の“浮き流し式”海苔養殖の秘密

海苔の生産量日本一 兵庫・明石の“浮き流し式”海苔養殖の秘密

TRAVEL 2025.10 明石特集

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速い潮流に揉まれて育つ肉厚で歯ごたえのある明石海苔

海苔も明石を代表する“まえもん”のひとつだ。「浮き流し式」という方法で養殖が行われている。網の周囲に浮きをつけ、流されないようアンカーで海底に固定し、網を海面に漂わせて育てる。この養殖方法によって、水深が深くて潮流が速い場所でも海苔養殖ができるようになり、瀬戸内海を中心に広まったそうだ。2022年度から兵庫県の海苔生産量は3年連続で日本一となっており、明石市はその4割を生産している。

明石の海に浮かぶ「浮き流し式」の海苔網と「もぐり船」。
海苔の摘採が行われる1月末頃の早朝の海。画像提供:(一社)明石観光協会

1977年創業の「鍵庄」は、明石海峡の“一番摘み”の海苔だけを使用した商品づくりを行い、色艶や口溶けのよさ、芳醇な香りなど明石海苔の魅力を伝えている。また、アレルゲンのない味付け、約15ミクロンに粉砕した海苔を練り込んだ素麺や菓子の開発など、現代の生活に寄り添い海苔の可能性を広げている。

肉厚で旨みの強い一番摘みの海苔。

明石海苔養殖の一年

春~夏 海苔の種をつくる胞子が糸のようになった「糸状体(しじょうたい)」を牡蠣の殻に植え付けて培養。5カ月ほどで種が放出される。

 育苗海水温が23度前後になる頃、種を定着させた海苔網を海に張り芽を育てる。海苔網を海上に出して海苔を乾燥させて海中に戻す「干出(かんしゅつ)」を毎朝、およそ3週間繰り返し一旦回収して冷凍保存。

 本張り・摘採 → 加工海水温が18度前後になる11月末頃、海に「浮き流し式」で海苔網を張る(本張り)。10日~2週間で海苔が20 ~30cmに成長したら「もぐり船」で海苔を摘採。加工場へ。

生海苔を乾燥させた「すしのり」(左/右は「焼のり」)。破れにくく太巻き等に最適。青、赤、黄、緑の色素のうち青と赤は焼くと分解されて緑に。
会長・入江惠子さん(右)と商品開発部 部長・入江真理さん。
昆布・鰹・海老の一番だしを使った醤油たれで味付けした「味のり」と香ばしい「焼のり」。

株式会社鍵庄

撮影 牧田健太郎
取材・文・編集 齊藤素子

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