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「私をパリに連れてって」 写真家が見た、雨の日の魔法

「私をパリに連れてって」 写真家が見た、雨の日の魔法

LIFE STYLE 旅の出会い

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才人が旅先で出会った忘れえぬ光景を綴る。
今回はファッションやコマーシャルフォトの分野で大注目の写真家。

SASU TEI

韓国・ソウル出身

国内で写真を学んだのち、東京を拠点に活動。東京とソウルを頻繁に行き来し、さまざまな体験をとおした自由な感性でのファッションポートレートを得意としている。 ファッション誌を中心に、多くの媒体で活躍中。現在『Retune rep』のExecutive Directorを務めている。

パリは、ずっと私の、憧れの街でした。

若かりしころは『Purple Fashion』や『VOGUE PARIS』といった、パリから発信されるマガジンを貪るように見ていました。私自身はまったく喋れませんけれど、フランス語のイントネーションは大好きだし、歌詞の意味もわからないのにフランス語の歌もよく聴きました。

32歳のとき、初めて訪れたパリはやっぱり素敵でした。かつて、マガジンを眺めながら「どこを撮っても絵になる街なんだろうな」と思っていたけれど、実際に歩いたパリは想像以上で、歩いている人も、建物も、看板も、道端に落ちている空き缶さえも、格好良く見える。どこをどう切り取ってもオシャレに見えて、「羨ましい」を通り越して「ズルい!」と思うほどでした。ときおり、ちょっと下水臭いような路地もあるけれど、臭いは写真には写らないし。夏はとても日が長く、飲んでも飲んでも暗くならないのも、うれしい。お酒好きの写真家としてもすごく魅力的な街、それがパリでした。

今回の写真はパンデミック直前、仕事で訪問したときに撮ったものです。

私は雨も大好きなので、ライカ片手に雨の街を、浮き立つような気持ちでスナップして歩きました。

それが3度目のパリで、いまのところ、最後のパリです。以来、なかなか行く機会がありません。写真集の仕事のオファーを受けたときなどは、とりあえず言ってみるんです。「撮影地はパリがいいんじゃない?」と。でも、残念ながら実現しません。

そこで、改めて提案です。『翼の王国』編集長さま。次回、もしパリ特集を組むときは、カメラマンはぜひ私をご指名ください。

私をパリに連れてってー!