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創作料理の原点は大阪にあり 森義文シェフが拓いたカハラの世界

創作料理の原点は大阪にあり 森義文シェフが拓いたカハラの世界

LIFE STYLE 花、旅、人

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カラー/Callalily 

私の地元・大阪に森義文さんというシェフが営む、「カハラ」という名店があります。昨今、「ノンジャンル」「イノベーティブ」と称される料理を出す店は多々ありますが、カハラは、まさにその“草分け”。森さんは半世紀以上もの長きにわたって、かつて「創作料理」と呼ばれたジャンルを確立してきたのです。 

フカヒレをステーキのようにソテーし、十割蕎麦にカラスミをまぶし、白味噌の雑煮のような椀には、餅の代わりに焼いたカチョカバロを……。そんな独創的な料理の数々を、少なくとも私が初めてお邪魔した30年以上前から、森さんは供してこられました。「この食材をこんな料理に⁉」「このコンビネーションがこんな味わいになるなんて!」、そんな驚きがいっぱいですが、森さんの料理は、決して“奇を衒(てら)う”ばかりではありません。素人の私がこんなことを言うのは失礼だと思いますが、基本的な料理人としての腕前が圧倒的なうえに、誰よりも豊かな、柔らかな発想で「もっと、おいしく」をとことん突き詰める、それが森さんの流儀です。 

国内外の著名料理人たちが彼を崇拝し、その仕事ぶりに少しでも触れたいと、カウンターの8席のみという小さな店に詣でる、「カハラ」とはそんな店です。私もたまさかにお邪魔させていただいては、そのたびに、あまりのおいしさに打ち震え、同じ表現者として打ちのめされたような思いに至り、そして毎度のように呻(うめ)くのです、「やられた……」と。 

今回の花はカラー。白、黄といった一般的なものと違い、使用したのは紫の少し珍しいタイプ。そして、このカラーの名は「ピカソ」です。森さんの料理をご紹介させていただくのに、これ以上の花はないと思っています。

赤井 勝(あかい まさる)

65年、大阪府生まれ。花を通じ心を伝える自らを「花人」と称し、自身の飾る花を「装花」と呼ぶ。08年、北海道洞爺湖サミット会場を花で飾り、13年、伊勢神宮式年遷宮では献花を奉納。昨年、 大阪府堺市に「Akai Masaru ArtMuseum 」をオープン。

編集: 仲本剛

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