頭痛を引き起こす色は? 視覚刺激と脳の関係を専門医が解説
こんにちは。今月も頭痛専門医の「雲の上の診察室」にようこそ。当連載ではこれまで、南の島の強い日差しなど、目に飛び込んでくる刺激と脳の関係についてお伝えしてきました。今回は、同じように視覚と脳を大いに刺激する可能性のある、「色」のお話をしたいと思います。
私の頭痛外来を訪れる患者さんたちの多くは、赤や黄、また蛍光色といった、いわゆる派手な色の服を着ることを自ずと避けています。なぜなら、このような強烈な色は、脳のスクリーンにあたる後頭葉の視覚野を刺激し、頭痛を誘発する可能性があるからです。よって、多くの患者さんたちは、モノトーンや淡い色の服を好んで身に着けているようです。
ただし、モノトーンはモノトーンでも、白色と黒色の強いコントラストには、やはり視覚野が過敏に反応することが知られています。チェスのボードのような市松模様や千鳥格子など、白、黒、白、黒が連続する柄を目にしていると、過敏な脳の持ち主はチカチカと目の前に光が走るように感じ、やがては頭が痛くなってしまう。患者さんのなかには、横断歩道の縞模様や、白いページに黒い文字がずらりと並ぶ一般的な本のページを眺めているだけで、頭痛が引き起こされたことがある、そう訴える人もいるほどなのです。
その点、青色を基調としているANA、その機内のデザインなどは、脳に優しい色使いと言えるでしょう。そして、これは若干、手前味噌な話になってしまいますが、白いページに青い文字色のこの「雲の上の診察室」も、過敏な脳に配慮した配色です。日ごろ、頭痛に悩まされているという皆さまも、どうぞ安心して私の連載を、そして ANAの空の旅を、お楽しみいただければと思います。
笑顔になる処方箋
強いコントラストはNG、淡い色使いを心がけましょう
脳神経外科医・清水俊彦(しみず・としひこ)
脳神経外科医。医学博士。1958年、京都府生まれ。日本医科大学医学部卒業、東京女子医科大学大学院博士課程卒業。現在、東京女子医科大学をはじめとする複数のクリニックで頭痛外来を担当し、一日あたり数百人の患者さんを診察する、頭痛研究の第一人者。著書やメディアへの出演も数多い。