長時間フライトの必須グッズ 医師が勧める頭痛を防ぐ3つの対策
皆さんはフライト中、どんな姿勢でお休みになるでしょうか?フルフラットのシートで横になる場合を除けば、多くの人は頭を前、あるいは横に倒して眠りについているのでは。
実はこの姿勢、脳にはあまりよろしくありません。首の骨(頚椎)の左右には「椎骨動脈」という太い血管が通っています。運動機能や、平衡・眼球運動の調節をつかさどる小脳、さらに呼吸や心拍などをコントロールする生命中枢である脳幹などに血液を送る大切な血管です。
長時間、首を大きく曲げる姿勢を取り続けてしまうと、血流を妨げ、目覚めた瞬間にめまいや首・肩の痛みなどの症状を引き起こす可能性が。
そこでオススメしたいのが、「ネックピロー」。首をしっかりホールドしてくれるこの枕を使えば、スムーズで気持ちよい眠りにつけるはず。
そして、機内での仮眠から目覚めたときも注意が必要です。前回、私は「強い光の刺激は頭痛の種になる」とお話しいたしました。薄暗いシートでぼんやりとしながら窓の日よけを全開にした途端、差し込んできた強烈な光に眼が眩んだ……、そんな体験をした人も少なくないのではないでしょうか。脳を刺激しないためにも、ゆっくりと日よけを上げましょう。
その点、ANAが開発から携わったボーイング787、この最新鋭機の窓に設置された「電気シェード」は素晴らしい装備です。明るさを段階的にコントロールできますし、脳への刺激の少ない明るさを保つことが可能だからです。また、低すぎる血糖値も頭痛を引き起こします。
仮眠から目覚めたら、少し砂糖を加えたコーヒーを飲みましょう。コーヒーのカフェインによる利尿作用で、睡眠中ややむくみ気味になった脳を元に戻し、頭もスッキリ、残りのフライトも快適ですよ!
笑顔になる処方箋
機内での仮眠にはネックピローがオススメ、目覚めは少し甘めのコーヒーで頭もスッキリ
脳神経外科医・清水俊彦(しみず・としひこ)
脳神経外科医。医学博士。1958年、京都府生まれ。日本医科大学医学部卒業、東京女子医科大学大学院博士課程卒業。現在、東京女子医科大学をはじめとする複数のクリニックで頭痛外来を担当し、一日あたり数百人の患者さんを診察する、頭痛研究の第一人者。著書やメディアへの出演も数多い。