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浄化で生まれ変わる Reborn and wellness in Kyoto-2「蒸」「養」

浄化で生まれ変わる Reborn and wellness in Kyoto-2「蒸」「養」

LIFE STYLE 旅で潤う

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京都を訪れ、八瀬(やせ)から比叡山(ひえいざん)を歩く。あぁ日々の喧騒からすっかり離れた。
森の中に身をおき感性を研ぎ澄ますと、ただならぬパワーを感じ、心が解(ほど)ける。
ここでの体験は、たとえ些細(ささい)でも新しい自分の発見につながる、そんなお土産を持ち帰れる場所。

八瀬には古来から、天武天皇の矢傷を村人たちが温め治療したという「かま風呂」の歴史が根付いている。
内から穢けがれを排出し、心身ともに整い癒やされると、まさにこの地に来た醍醐味(だいごみ)を感じる。

八瀬名物のかま風呂は、日本古来のサウナといわれる。およそ1350年前壬申の乱の際に、背中に矢を受けた大海人皇子(おおあまのおうじ)がかま風呂を作り傷を癒やしたことから、この地は「矢背」と呼ばれ、それが転じて現在の地名「八瀬」になったという。その後多くのかま風呂が作られ、旅人たちを癒やす湯治場で知られた。今も残るかま風呂の旧跡は登録有形民俗文化財になっている。


八瀬に来たからには伝承にちなんでサウナに入りたい。「モクサ リバースホテル」は、笹野美紀恵氏が監修したプライベートサウナ3種を設える。それぞれこの地にふさわしい「浄化」「再生」ができるサウナで、水風呂には比叡山の地下水を使用。汗とともに内から穢れを排出する体感は、真の贅沢を味わえる。

「檜蒸hijo」。比叡山に多く自生し、仏教や神道でも神聖な木材とされる檜をテーマにした空間。頭頂部を刺激する構造の水風呂は気持ちよく、全身が引き締まる。

「炭蒸tanjo」。八瀬の小原女文化を象徴する“炭化した薪”をイメージ。サウナ室の椅子や水風呂にも炭を使用。炭による浄化効果を感じることができる。
「美蒸bijo」。体内のコラーゲンを活性化させる特殊な光を用いたミストサウナ。光線が線維芽細胞に働きかけることで生成を促し、まさに「再生」を得られる。

moksa Rebirth Hotel

〒601-1255
京都府京都市左京区上高野東山65
TEL:075-744-1001
https://moksa.jp

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サウナ監修
笹野美紀恵(SAUNAGE)

サウナトータルプロデューサー。実家は、サウナの聖地と称される「サウナしきじ」(静岡県)。サウナは単なる“熱い箱”ではなく心と体をリトリートするという考えを提唱。近年は医療機関と連携し、ウェルネス関連のプロデュースも行う。

その昔、この地に魚が集まってきた歴史のある道「鯖街道」を通って仕入れる、日本海の恵みをたっぷりと。
大原女(おはらめ)からの薪文化ルーツに落とし込んだ、洗練された一品一品。

八瀬は〝食の中継地点〞だと言う、レストランMALAの宍倉シェフ。「隣は京野菜で有名な大原。鯖街道を北上すると日本海。比叡山を越えれば琵琶湖を望む高島。古代から〝御食国 (みつくに)〞として塩や海産物など豊富な食材を持つ若狭(わかさ)(現在の福井県)から鯖街道を通って行商たちが食材を運び、京都の出入り口八瀬は旅人を迎える場として茶屋や料亭で賑わいました」。

このレストランでは、そんな季節の豊かな食材をモダンな薪料理に落とし込む。なぜ薪料理かというと、平安中期、薪を頭にのせて京の町で行商した大原・八瀬などの女性を「大原女(おはらめ)」と呼び、その歴史に着想を得たという。そんな背景を聞きながら、メラメラと燃える薪火を眺め、焼きたてで運ばれる料理は絶品。伝説うず巻く八瀬の里を堪能できる。

moksa館内では、レストランのほか、バーカウンターやロビーでもくつろぐことができる。お茶にもこだわっており、「小慢」「一保堂」の中国茶、台湾茶、日本茶も楽しめる。

館内は現代作家のアートがあちこちにお出迎えしてくれ、癒やされる空間。

MALA MAKIBI Restaurant

コースのみ、2回転制(18:00~/19:30~)。
予約はmoksaにお電話ください。
TEL:075-744-1001
https://moksa.jp

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宍倉宏⽣ Hiroki Shishikura

総⽀配⼈/エグゼクティブ・シェフ
「フォーシーズンズホテル京都」スーシェフ、「ザ・リッツ・カールトン・沖縄」シェフを経て、MALAエグゼクティブ・シェフに。ホテルレストランで培ったイタリアン、フレンチの技術を用いて、地産の食材を生かす創作薪料理を提供。

写真/yOU(河﨑夕子)
文・編集/中野桜子