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浄化で生まれ変わる Reborn and wellness in Kyoto-1「浴」

浄化で生まれ変わる Reborn and wellness in Kyoto-1「浴」

LIFE STYLE 旅で潤う

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京都を訪れ、八瀬(やせ)から比叡山(ひえいざん)を歩く。あぁ日々の喧騒からすっかり離れた。
森の中に身をおき感性を研ぎ澄ますと、ただならぬパワーを感じ、心が解(ほど)ける。
ここでの体験は、たとえ些細(ささい)でも新しい自分の発見につながる、そんなお土産を持ち帰れる場所。

パワーの中に身をおき目を閉じる……
自分とそれをとりまく様々なものがよぎる。八瀬童子達たちもこの景色を何千年と見てきたのだろうか。

八瀬駅からケーブルカーとロープウェイに乗り、悠々と比叡山頂駅までの景色を望む。宿で持たせてもらったコーヒーを山頂で飲むとしよう。絶景を横目に今も残る村落共同体「八瀬童子(やせどうじ)」の話を聞き、ふと不思議さにかられる。

八瀬童子は1000年以上もの間、比叡山のふもとの集落・八瀬で暮らす約110世帯の人々。歴代天皇の供養のため、毎月念仏を唱えているという。天皇家とのつながりは、室町時代まで遡(さかのぼ)り、都を追われた後醍醐天皇のこし輿を担ぎ助けた働きが認められ、以来天皇の輿(こし)を担ぐ仕事を担ってきたという。この特異な歩みを伝える「八瀬童子関係資料」は国の重要文化財にも指定されている。同じ景色を1000年の歴史を超えて八瀬童子たちも見てきたというのか。そんなことを考えながら山頂で腰を下ろし、挽きたてのコーヒーのおいしさを噛みしめる。

写真/yOU(河﨑夕子)
文・編集/中野桜子